私たちの生活には、いろいろなところで神様の存在を感じられることがあります。身近なところでは、「初詣」。受験生なら「合格祈願」。ビジネスパーソンなら「商売繁盛」。名だたる経営者も、日本の歴史をつくった戦国大名や歴代天皇も、神様を信仰し、力を借りて成功を収めてきました。漫画やゲームのキャラクター名でつかわれていることもあります。もしかしたら、ヒットの要因は、神様のご利益かもしれませんね。
日本には、八百万(やおよろず)の神様がいると言われています。膨大な神様の中から100項目にわたって紹介する新刊『最強の神様100』には、古代から現代まで、めちゃくちゃ力のある神様が登場します。最強クラスの神様なので、ご利益も多種多様。
龍神にまつわるエピソードで今回登場するのは善女龍王で、その力は絶大。自分のために願うのではなく、世の中のために貢献したい人、ぜひチェックしてください。

松下幸之助も信仰した伝説の龍神【龍神にまつわるエピソード4】Photo: Adobe Stock

空海を助け、松下幸之助の邸宅に祭られた龍神

松下幸之助も信仰した伝説の龍神【龍神にまつわるエピソード4】善女龍王
イラスト/朝倉千夏

 天皇の勅命で雨乞い祈祷をした弘法大師空海は、インド北部の決して水が涸れない池に住む龍神にお出でいただき、3日間、国中に雨を降らせることに成功します。この伝説の龍神こそ「善女龍王(ぜんにょりゅうおう)」です。

 雨を切実に降らせたい現代人は少ないかもしれませんが、古代、国家が雨を降らせる力にすがったのは豊作のため。善女龍王の本質的なご利益は「五穀豊穣」で、物質的に豊かな暮らしの実現を支援します。

 善女龍王を信仰した人物といえば、松下幸之助氏で、長者番付1位に10度なった人が「生涯一度の贅沢」として建てた邸宅「光雲荘(こううんそう)」に祭られました。公私にわたるおもてなしの場として利用されたパワースポットです。

 第二次世界大戦の荒波を乗り切って世界的な総合電機メーカーであり続けているのは、善女龍王ら龍神さん信仰の影響も大きいでしょう。

 善女龍王は「物理的にたくさんもたらす」特徴があり、スケールが大きいので、小さなことより大きなこと、世の中をより豊かにすることを願うといいでしょう。

 西宮市にあった光雲荘は、枚方市に移築され、パナソニックの研修施設です。我々一般人が参拝するなら、京都市の神泉苑でしょう。桓武天皇が「天皇のための庭園」とした、歴代天皇のいこいの場です。常に清らかな水がわくことから神泉苑と名付けられました。空海が雨乞い祈祷を成功させた場所で、源義経が静御前にほれた場所です。神泉苑の池にある中島に、空海が勧請(かんじょう)した善女龍王社があります。勧請は神仏を分霊することで、善女龍王は、空海が唐に留学したときに長安の青龍寺より勧請した龍神です。

 清瀧権現ともいい、醍醐寺(京都市)の清瀧宮に祭られています。奈良県宇陀市の龍穴神社もおすすめです。豊かな世にしたい方、ぜひご参拝ください。

【主なご利益】五穀豊穣、商売繁盛、学業成就

【こんな人にオススメ!】
私利私欲ではなく、世の中のために貢献したい人

*本原稿は、八木龍平著『最強の神様100』からの抜粋し、再編集したものです。