独自のやり方で決済インフラを構築した
ユニコーン企業のゴジェック
新興国でリープフロッグ現象を起こしたスタートアップは数多くありますが、ここでは急増する中間所得層の課題に目をつけ、それを解決することで東南アジアを代表するユニコーン企業へと成長したゴジェックを紹介します。
2010年創業、2021年5月には同じくインドネシアのユニコーンであるトコペディアとの合併を発表。トコペディアにはソフトバンクも出資していて、合併後はインドネシアを代表する巨大企業へと変貌を遂げています。
まず人材教育をはじめとした地道な改善活動を通してオートバイの配車アプリを成功に導いたゴジェックは、次にEコマースの立ち上げを試みました。
配車アプリを通して消費者にリーチできるようになり、商品配送に必要なドライバーを組織化することもできたので、積み上げた強みを有効活用する上でのEコマース事業への展開は、自然な流れといえます。
Eコマースの立ち上げでは、いかに決済システムを構築するかがポイントとなりました。当時のインドネシアの銀行口座普及率は1割程度で、口座を保有しない多くの中間層がEコマースで商品を購入するには、コンビニでプリペイドカードを購入するなどの手間がかかりました。
日本では古くから存在している代引きという仕組みも、平均給与が2~3万円程度のバイクタクシードライバーが受け取るには大金であり、ゴジェックにとって未回収リスクが高く実現は難しいとされていました。
この問題を解決するために、ゴジェックはドライバーに商品を買い取らせ、ドライバーが消費者から代金を回収するという仕組みを考えました。これによりドライバーによる現金の持ち逃げリスクを排除し、ゴジェックは多くの消費者の財布にリーチすることが可能になったのです。
また、GoPayというイーウォレット(電子財布)を提供することで、ユーザが銀行口座を開設せずに預金することも可能にしました。