一般論として、飲みに行くと5000~1万円はかかるうえに、普段も家で酒を飲み、週に一回は外食をし、年に二回は旅行に行くと、かなりの出費になります。さらに趣味にお金をかけ、スマホは1人1台持ち、服はブランド物を着て、ライブを見に行くといったことをしていれば、お金が貯まらないというのはある意味当然だと思います。

 僕が独身だったのは大きいと思いますが、母はいるわけで、2人分の生活費はかかりました。独身なので、当然、共稼ぎではなく収入は1人分です。

 要するに、不動産投資をしようと決意して貯金を始めたのではなくて、不動産投資を思い立ったときに数えてみると、手持ちのお金が500万円あったのです。そのため、最初は、物件価格3000万円、諸費用300万円で、その1割の300万円程度を不動産投資用の資金と想定して物件を探していました。頭金3割とか、諸費用は別と言われたら資金不足ですが、頭金が全体の1割以下になれば足ります。

 つまり、そのような融資を受けられる物件を探せばいいと思っていました。このあたりは「楽観主義」と「信念」です。

最初の1棟は
予算以上の物件だった

 実際は3000万円以下の物件を地銀に何度も持ち込んでも融資は出ず、ほかの地銀や信用金庫に行っても結果は同じでした。

 そんな中、物件価格がおおよそ5000万円の満室物件が巡ってきました。このとき、頭金を1割と言われたら資金不足なので諦める選択肢もあったのですが、利回りは高く、積算価値も十分あり、築年数もそれほど古くなかったので、融資年数も長くなるのではないかと思って地銀に持ち込みました。

 審査結果は、「物件価格は全額融資するが、諸費用は頭金(自己資金)」という「フルローン」でした。ここが運命の分かれ目でした。諸費用は自分で計算していたのでおおよそ400万~500万円と分かっており、手持ち資金の500万円を使うと、残りの手持ち資金はほぼゼロになってしまいます。

 しかし、冷静に考えれば、諸費用のうち不動産取得税は3ヵ月から半年後に請求が来るので、とりあえずは不要です。また、敷金は引き継ぐため、差し引きで計算すると、決済時点の諸費用はなんとか支払えます。不動産取得税の支払いまでには短くとも3ヵ月分の給与もあり、満室の家賃も入るので、なんとかなると考えて購入を決断しました。

 購入後しばらくして2部屋の空きが出たので頭を抱えましたが、なんとか再び満室にして1年をしのぎ、手持ち資金が回復してきました。その間に法人をつくって、2棟目を探し始めました。