発達障害の特性のある人が「やりたいこと」を減らせない理由
──本田先生が考案された「発達の特性がある人の時間配分」という図も、先日SNSで話題になっていました。
本のなかでも、「仕事とプライベートのバランスをうまくとるのが得意な人もいれば、苦手な人もいる」と書かれていましたよね。
![発達障害の人ほど「リベンジ夜ふかし」をやめられないメカニズム](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/4/0/670/img_4034667b51c7105487032463139f88b6488036.jpg)
本田:ええ。これは、1日の生活を「睡眠」「身の回りのこと」「やりたいこと」「やるべきこと」の4つに分けて、その割合を図式化したものです。
左端が、「やりたいこと」を自由にできる日。そして右端は「やるべきこと」が多くて「やりたいこと」をするための時間が少ない日です。
発達障害の特性がない一般の人は、やりたいことを削り、やるべきことを優先できるんですよ。忙しい日が続くとストレスが溜まるから、週末に時間を捻出してリラックスする日をつくろうとか、そういうバランス調整も自然にできるんです。
![発達障害の人ほど「リベンジ夜ふかし」をやめられないメカニズム](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/4/c/670/img_4cc6b1406d7587346c956a5b98e79eab173903.jpg)
──そうやって、オンとオフの切り替えができるのが理想ですよね。私もずっと昔からそうしたいと思い、いろいろなストレスコントロール法などを試していたのですが、なかなかできるようにならなくて……。
本田:そうですね、難しいですよね。ただ、これは私が患者さんたちをこれまで診てきたうえでの実感ですが、オンとオフの切り替えが苦手な人は、どれだけ努力してもできるようにはならないんですよ。
──ええ! がんばっても無理ですか、やっぱり。
本田:なかには努力してできるようになる人もいるでしょうが、ほとんどの人は難しいんじゃないでしょうか。
むしろ、バランス調整のために努力することが苦痛になって、うつ状態になってしまう人もいますから、一概にワーク・ライフ・バランスを目指すのがいいとは限りません。
──なるほど。さらなるストレスを生んでしまう場合もある、と。
本田:発達の特性があって、ワーク・ライフ・バランスをとるのが苦手な人の場合、「やるべきこと」が増えていても、「やりたいこと」がなかなか減らせないんです。どんなに忙しくても「これ以上は減らせない」というラインがあるわけですね。
むしろ、「やるべきこと」が増えた部分がストレスになって、そのストレスを発散するために、「やりたいこと」をやるためのさらなる上積みが必要になるんです。
──そうか。義務感に縛られて余計にスケジュール管理がうまくできなくなる可能性もあるんですね……。それだと、本末転倒ですよね。