40歳を過ぎたら、血圧計を必ず買う
そこで大事なのは「血圧の測定」です。銭湯や温泉施設にある血圧計で測定したことのある人も多いでしょうが、それにはほとんど意味がありません。温かいお湯につかると全身の血管が「拡張」するからです。
血管が拡張してしまうと「血管の抵抗(R)」が弱くなるので、血圧は本来の値より下がります。風呂あがりに血圧を測定すると本来より低く数値が表示されるので、高血圧の発見が遅れてしまうことも珍しくありません。
逆に、本来の値より血圧が上がってしまう場合もあります。それは「病院で測定した場合」です。
「白衣姿の威厳のある医師から、何か病気を宣告されるかもしれない……」
病院は、人を不安な気持ちにさせるファクターがそろっている非日常空間です。病院で測定したときだけ血圧が上がってしまう事象は「白衣高血圧」という医学用語が存在するくらい一般的なものです。
この白衣高血圧には「長期的には心筋梗塞などのリスクを上げる可能性」が示されています(※2)。持続的な高血圧に移行するリスクが約3倍になるというデータもあるので、要注意です(※3)。高血圧の前ぶれ状態だと考えましょう。
最も正確な数値を反映するのは銭湯でも病院でもなく、自宅で測定した血圧です。血圧は瞬間的に高くなって悪さをするものではありません。慢性的に高血圧の状態が続くことで血管の壁をじわじわ傷つけていくのです。
だからこそ、最も落ち着いた状態である自宅での血圧測定が欠かせません。40歳を過ぎたら、1ヵ月に1回程度でいいので、自宅で血圧を測定する習慣をつけましょう。高血圧になったときでも早く対応ができますし、健康への関心を維持するきっかけにもなります。親御さんや身近な人にぜひ教えてあげてください。
【出典】
※1 厚生労働省 国民健康・栄養 調査 2019年版
※2 Banegas JR, Ruilope LM, de la Sierra A, et al. Relationship between Clinic and Ambulatory Blood-Pressure Measurements and Mortality. N Engl J Med 2018;378 1509-1520
※3 Ugajin T, Hozawa A, Ohkubo T, et al white-coat hypertension as a risk factor for the development of home hypertension the Ohasama study. Arch Inte rn Med 2005;165 1541-1546