来園する猫は少ないだろうが…
でも狂犬病ワクチンは必要か?
「犬・猫共に狂犬病ワクチンおよび混合ワクチンの1年以内の接種を義務付ける」。これがハウステンボスの最終的な結論だった。
犬の混合ワクチンばかりか、猫に対しても国内では通常接種しない狂犬病ワクチンを義務付けるというのだ(猫への狂犬病ワクチン接種は海外渡航の際に求められることがある)。
安田獣医師はこう言う。「ハウステンボスには国内を代表する行楽施設として、科学的根拠に基づいた判断を期待していた。だが結果は、犬の混合ワクチンについて抗体検査結果での利用を認めないばかりか、猫にまで狂犬病ワクチンを義務付けるという驚きの内容。来園する猫は実際には少ないのだろうが、あまりに科学的根拠を欠いた判断で、失望させられた」。
ハウステンボスは本件について、「来園者に安全・安心に過ごしてもらうことを目的に、ワクチンの接種をお願いしている」(経営企画室)とし、抗体証明では入園できないことや、猫にも狂犬病ワクチン接種を求めていることを認めている。
猫への狂犬病ワクチンは別にしても、1年以内の混合ワクチン接種を求める行楽施設は、前述の通り多い。なぜか。それは動物病院の相当数が毎年の混合ワクチン接種を推奨しているからだ。
ガイドラインを重視し、抗体検査で接種の必要性を判断する獣医師も増えているが、全体としてはまだ少数。その理由は、「ワクチン接種によって動物病院が定期的な収益を得られるという点が大きい」と安田獣医師は考えている。
「多くの動物病院が収益を優先したいがために、毎年のワクチン接種を勧めている。だからこそこの状況に一石を投じるために、大手企業であるハウステンボスには理にかなった判断をしてほしかった」と話している。
Key Visual by Noriyo Shinoda