ロシアPhoto:PIXTA

ロシアはいち早く、新型コロナウイルスのワクチンを開発したものの、その接種率は4割程度にとどまる。9月以降感染が再拡大、“非労働日”が設定されるなど行動制限が実施された。そうした不安定さが残るなか、エネルギー価格上昇によるインフレ加速、金利上昇が景気を脅かしつつある。(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濱 徹)

早期に国産ワクチン開発も
停滞する接種率

 新型コロナウイルスのパンデミックに際して、ロシアは世界で初めて新型コロナウイルス向けワクチン(スプートニクV)の開発、生産、承認が行われるとともに、昨年末には接種が開始されるなど、いち早く「ポスト・コロナ」の世界に向けた取り組みが進むと期待された。

 しかし、ロシアはワクチン生産国であるにもかかわらず、今月15日時点における完全接種率(必要な接種回数をすべて受けた人の割合)は35.21%、部分接種率(少なくとも1回は接種を受けた人の割合)も42.16%にとどまり、ともに世界平均を下回るなど見劣りする状況が続いている。

 政府はこうした状況を打開すべく、プーチン大統領やミシュスチン首相などがテレビ演説などを通じて広く国民にワクチン接種を呼び掛けるとともに、飲食業などサービス業の従事者に対しては事実上の強制接種、店舗や公共交通機関などの利用をワクチン接種済みの人に限定するほか、景品提供などによる誘導も図られてきた。

 こうした取り組みが奏功して、足元では接種率は緩やかに加速する動きがみられるものの、上述の通り接種率そのものは依然低水準にとどまっている。