「思考のピラミッド」の注意点3つ
1. 1分で「結論」を出そう

 最初から、大正解の結論を出す必要はありません。

「結論」とありますが、最初はただの「仮説」でOK。直観で、スピーディに仮説を出してしまいましょう。

 その仮説が間違っていたら、結局は「理由」と「根拠」で支えるステップで、うまくいかなくなります。そこで間違いに気づき、方向転換すれば問題ありません。

 逆に、最初から正解にたどり着こうとして、仮説なしのまま、細かい根拠探しを始めてしまう人がいますが、これはNGです。

 仮説なしでは根拠探しの目星がつけられないので、情報収集の時間が膨大になり、時間がいくらあっても足りません。

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2.「理由」は3つ&MECE(ミーシー)

 理由は、なるべく3つに絞りましょう。

「マジックナンバー3」という言葉もありますが、自分の考えを整理する、相手にわかりやすく伝える、どちらを踏まえても3つにまとめるのがベストです。

 数が多くなってしまいそうなときは、重要度の低いものは潔く削ります。

 もしくは、「理由」に入れる言葉を、広い意味を持つものに変え、まとめていきましょう。

マモル:3つにする意味はわかりましたが、下にあるMECE(ミーシー)って何ですか? アルファベット4つ並べちゃって、絶対難しい言葉ですよね!?

サラタメ:小難しい言葉ですが、要は「モレがない&ダブりがない状態」のことです。簡単にいえば、理由の3つがMECEな状態というのは、「その3つの理由なら、この結論を出すのに十分だ」という意味です。

マモル:全然簡単じゃないです……(笑)。じゃあ、逆にMECEじゃないってどんな状態なんですか?

サラタメ:たとえばお店選び事例の「理由」でいえば、「予算」と「おいしさ」には全然触れず、「個室アリ」「トイレがきれい」「掘りごたつ」といった感じで、お店の設備のことばかりだとモレありで、MECEじゃない。「その理由で結論を出すのは不十分だよね」ってことになっちゃうんです。

マモル:わかるような、わからないような……。

サラタメ:ちょっと難しいですよね(笑)。完全に把握しなくても、ぶっちゃけ日々の仕事に支障はありませんが、デキるビジネスマンは、けっこう普通に使っている言葉なので、なんとなく覚えておきましょう~!

3.「根拠」に体感というスパイス

 理由を支える根拠は、基本的に客観的な数値が望ましい。

 たとえば、お店選びの事例で「4000円コースがある」「食べログ3.5以上」は数値的な根拠です。

 数値で示される根拠は、誰が見ても変わらない事実なので、信頼性が高い。ビジネス現場では、数値で根拠を表さないと「結論」も「理由」も台なしになってしまいます。

〈数値で根拠を表す事例〉
・売上が大きく増加した→売上が前年比で40%増加した
・予算にたっぷり余裕がある→予算に200万円の余裕がある
・すぐ実行できる→3日以内には実行できる

 このように数値で示すことは大前提ですが、プラスαで「体感」をつけ加えてあげると、より説得力が高まります。

 お店選び事例の根拠でいえば、「実際に食べてきておいしかった」という根拠です。ビジネス現場では、客観的データをもとに判断するのがルールになっていますが、結局判断を下すのは人間。人間の判断は、感情やイメージに大きく左右されるので、臨場感たっぷりの「体感」を根拠につけ加えると(次のように)、相手のYESが引き出しやすくなります。

サラタメ:食べログ3.5以上という根拠だけで、相手に決めてもらえない場合には、「あと、あそこの出し巻き玉子は、真夏の入道雲くらいフワフワトロトロでしたよ!」と、体感を補足してあげましょう。それで一撃です!

マモル:なるほど! サラタメさんの食レポはかなり微妙ですが(笑)、「体感」でさらにひと押しするという意味は理解できました!

(本原稿は、サラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン』からの抜粋です)

〈まとめ〉
・デキる人は「考える」⇔ デキない人は「悩む」
・デキる人は頭の中に「思考のピラミッド」をつくっている
・手順は、1.結論を出す→2.結論を理由で支える→3.理由を根拠で支える
・注意点は3つ
 1.1分で「結論」を出そう
 2.「理由」は3つ&MECE
 3.「根拠」に体感というスパイス