買うなら、G社。売るなら、F社
G社に何が起こっているか、考えてみましょう。
朝方、大きく下げて始まりますが、下がったところでは買いが入り、少しずつ値戻しし、終値ではきっちり1000円まで株価が戻っています。
そんなことが、もう3日も続いています。
G社には大口買い手の影
G社は、不特定多数の小口投資家が売っているところで、大口の機関投資家がこつこつと買い集めているように見えます。
機関投資家は3日続けて「1000円以下の計らい」で大口買い注文を出していると思います。
計らい注文とは、機関投資家がよく使う注文の出し方です。証券会社のセールストレーダーの裁量で、事前に取り決めた株価の範囲内で一定株数を買ってもらう(または売ってもらう)注文方法です。
機関投資家が、特定の小型株を大量に買い集めたい時、その意図を市場に悟られることなく少しずつ買おうとします(私がファンドマネジャーの時、そうしていました)。
それを計らい注文で証券会社に委託するわけです。
3日ともきっちり1000円の高値引けとなっているのは、そういう大口投資家の気配を感じます。
ただ、3日間も同じような注文を出したため、ローソク足に不審な形跡が残っています。そろそろ不特定多数の投資家が、買い手の存在に気づく頃です。
F社には大口売り手の影
F社はその逆です。不特定多数の小口投資家が買っている中、大口の機関投資家が少しずつ売っている感じがします。
売りたい株がまだかなり残っているのを悟られないように、「1000円以上の計らい」で売っている感じです。
ローソクチャートでマーケットの需給を見る
ローソク足には、注意点があります。
ローソク足のシグナルは、これだけで70%以上当たる強いシグナルとは言えません。
「需給的に強そうか弱そうか」を知るには役立つので、ローソク足のシグナルと他のシグナルを合わせて見ると、投資判断の精度が高まります。
(本稿は、『株トレ——世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)