株式投資をする人にぜひ読んで欲しい1冊が『株トレ——世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。クイズを解きながら「株のトレードで勝つ技術」を身につける画期的な1冊だ。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。何万回にも及ぶ膨大な数のトレードから確立した「トレードで勝つ技術」を1冊に凝縮した本書から、特別に一部を抜粋して紹介する。
ファンドマネジャー時代の取引ルール
私がファンドマネジャー時代にやってきた売りの判断方法で、とても上手くいった方法を紹介します。
それは、私が運用を担当していた公的年金ファンドで実際にやっていたルールです。
まず、そのファンドが、どこで日本株を売り、どこで日本株を買ったか、見てください。
このチャートの「売り」の矢印をつけたところで、日本株を売って国債を買いました。
当時私は「日経平均はまだまだ上がりそうなのに、ルールだから仕方ない」と渋々、日本株を売ったのを覚えています。
「買い」の矢印をつけたところでは、複数回にわたり国債を売却して日本株を買いました。
この時、私は「日本株は下がり過ぎ」と考えていたので、株を買うのに違和感はありませんでした。
ファンドに定められていたルールを説明します。
ファンドの基準として決められていた資産配分比率は「国内株式40%・国内債券60%」でした。
「時価ベースで株の組入比率が45%以上になったら基準比率へ戻す。35%以下になった時も基準比率へ戻す」というルールが定められていました。
2007年4月、株の値上がりで株の組入比率が45%を超えたところで株を売って国債を買いました。
2008年に株が暴落して組入比率が35%以下になった時は、国債を売って株を買いました。
個人投資家でも実践できる方法
このやり方は個人投資家でも真似できます。
たとえば、日経平均インデックスファンドを100万円分買ったとします。
「値上がりして120万円になったら20万円分売る」「値下がりして80万円になったら20万円分買う」を繰り返すだけで、私が運用していた公的年金と似たタイミングで株の売買ができるようになります。
ただし、これは言うのは簡単でもやるのは難しいことです。
ルールに従うと、世の中みな楽観を言っている時に株を売り、みな悲観的になっている時に株を買わなければならないからです。
ところで、私はその難しいことを普通にやっている人を知っています。
私と同じように日経平均の高値で株を売り、リーマン・ショック後の大底では日本株を1兆円も買い越ししています。
その人は「個人投資家」です。個人投資家一人ひとりは、さまざまな判断基準によってさまざまな売買をしますが、全部を合算して1つの投資主体として統計を見ると、「個人投資家」は高値で株を売り、安値で株を買う傾向が明確です。
(本稿は、『株トレ——世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)