「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そうした「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を「再現性のマニュアル」にして全て公開。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

9割の人が知らない「年収が上がらない人」が無意識にやっている思考のクセPhoto: Adobe Stock

 僕が本書でお伝えする「わらしべ転職」では、「2年以内に入りたい会社」を決めていきます。

 僕が会社選びで重視する最も大事なポイントが「現状にとらわれない」ことです。現状とは、もう少し具体的に言い換えるなら「今の年収」「今の仕事内容」。

「今の仕事の年収より、金額をアップさせたい」
「今の仕事内容より、キャリアアップしたい」

 こうした考え方をしている限り、本当に納得できる人生を送ることはできません。

 例えば、現在年収300万円の人が「年収を上げたいな」と考える場合。たいてい同じ業界の、少し年収が上(年収350万円くらい)の企業を目標にしてしまいます。

 仕事の内容も同じで「今できる仕事はこれだから、次にやりたいことは?」と考えてしまう。そうすると、たいてい同じ業界の、同じ職種にしか目が向きません。それくらい、人は「今の環境」を基準にして生きているのです。

 偉そうに語っていますが、実は高校を卒業するときの僕が、この「現状にとらわれる」典型例でした。周りのみんなが高校を出たら、地元の工場に就職する。自分が経験したことがないから、見たことがないからという理由で、それ以外の選択肢を、検討することもしませんでした。実際、新卒のときに僕が会社説明会に行ったのは、愛知県内に工場のあるメーカー2社だけでした。

「今の年収」「今の仕事」を基準に転職活動をして、仮に内定が取れたとしても、正直、転職の「回数」が増えるだけです。さらに同じことを繰り返せば、単なるジョブホッパーとなってしまう。結果、若いうちは少しは年収が上がっていた人も、転職するたびに、年収や、やれる仕事の幅がだんだん狭まっていきます。転職すればするほど、キャリアの可能性が狭まる……本書でお伝えする「わらしべ転職」と正反対の行為であり、本当にもったいないことです。

※この記事は、『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』からの抜粋です。