若い人は投資をしよう

―――シニアは投資しない方がいいということなら、20代や30代の若い人は投資した方がいいということでしょうか。

荻原:はい、その通りです。これから社会人としてさまざまな経験を積んでいく若い人には、投資をお勧めしています。

20代がやるべき投資① 株式投資

―――若い人でも初めての投資は怖いでしょうから、誰もが投資に一歩、足を踏み出せる方法を教えてください。

荻原:にも書きましたが、とりあえず1銘柄、株式を買ってみるのがおすすめです。

 株式に投資すれば、会社の業績、業務内容、経営者の考え方などに興味が湧いてくるでしょう。それはきっと自分の仕事にも役立つはずです。

 仕事が順調にいけば、株式投資で失敗したとしても、仕事で収入が増えて、資産を築けるようになりますから、投資はある意味、授業料だと思えます。

―――最初は失敗することも多いと思うのですがどうですか?

荻原:はい。だれでも最初はきっと損をするでしょう。でも下がったときがチャンスです。

「下がったから買い足そう」と思える人は投資に向いていますし、下がったショックで寝込む人は、投資には向きません。このタイミングを、そのジャッジに使うのです。

20代がやるべき投資② 外貨預金

―――若い人が投資するとしたら、株が一番いいのでしょうか。

荻原:株以外では、為替の動きに直結する外貨預金もいいですね。

 外貨預金は外国為替レートの値動きに直結して損益が左右されますから、為替に投資すれば世界経済のニュースに耳を傾けるようになるので勉強になるはずです。

20代がやるべき投資③ ETF

―――その他にありますか?

荻原:ETFもおすすめです。ETFは日経平均株価のような株価インデックスとほぼ同じ値動きをする投資信託です。

 投資信託は他人任せで勉強にならないので、基本、お勧めしていませんが、ETFのように株価インデックスの値動きにほぼ連動するタイプの投資信託は、マーケットの値動きを勉強する意味でお勧めしたいと思います。

―――ところでこれらは全部短期投資向きの投資ですが長期投資はどうですか?

荻原:私は長期投資には年齢問わず反対です。なぜなら10年先、20年先のことなんて、誰にも予測できないからです。

 先述した通り「長期投資なら下げてもいつか回復する」なんて期待すると、気付いたら大きな損失を抱え込んだままだった! なんてこともありえます。

 バブル崩壊後の日本株は、まさにその典型。日経平均株価は1989年12月に3万8915円の高値を付けた後、2009年4月の7021円まで約20年にわたって下げ続けました。「いつか上がる」と信じているうちに20年です。

―――でも、短期投資も予測は困難ですよね。

荻原:ただ、最初から短期投資と割り切って、自分が「ああ、もうこれ以上の損失には耐えられない」と思ったところで損切りすれば、案外、大損はしないものです。

 結局、投資というのは若いうちからやるべきものだし、投資信託よりも株式や外貨預金、ETFでマーケットの流れをうまく利用しながら、短期で儲けるものだと、私は割り切っています。

―――荻原さんはそういう投資をされていると?

荻原:私の父は投資家でしたからね。私自身もその血を受け継いでいると思います。

 とにかく投資は、にも書きましたが、まずは少額資金で投資してみて、損をした時にそれが気になってどうしようもないという方は、若い人でも投資に不向きになりますので、そういう方はしっかり働いて資産形成をするのがおすすめです。

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50代がやってはいけない3つの投資、20代がやるべき3つの投資荻原博子(おぎわら・ひろこ)
1954(昭和29)年、長野県生まれ。経済ジャーナリスト。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済のしくみを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『役所は教えてくれない定年前後「お金」の裏ワザ』(SB新書)、『50代で決める! 最強の「お金」戦略』(NHK出版新書)、『投資なんか、おやめなさい』『払ってはいけない』(新潮新書)、『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』(文藝春秋)など。
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