他人とうまくコミュニケーションできないことからくる孤独感や閉塞感、自己肯定感の欠如、SNSによる誹謗中傷やバッシングなど、私たちは、いま多くの生きづらさを感じさせる事柄に取り囲まれています。そんな中にあって、毎日を心安らかに、できるだけ快適に生きていくためには、どうすればいいのでしょうか? 発達障害(ADHD)、うつ病など、生きづらさを抱えながらも精神科医として活躍するバク先生は、ツイッターでのつぶやきが共感・絶賛され、今、人気急上昇中。そんなバク先生の初の著書『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)が発売されました。同書の中には、生きづらさを解消するための実践的なヒントが詰め込まれています。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けします。心がスーッと軽くなる珠玉のアドバイスにお付き合いください。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。
ただ挨拶するだけで、
相手のこちらに対する印象はずいぶん変わる
周囲に溶け込むための擬態としての「小細工」は、多くの場面で生きづらさを解消してくれます。
私の一押しは、無差別挨拶です。
とにかく、朝に顔を合わせたら「おはようございます!」とか、何かしてもらったら「ありがとうございます!」とか、どんなにしんどくても、疲れていても挨拶だけはしておく、ということです。
それだけのことで、ずいぶんといやな気分からは解放されます。
私自身、この無差別挨拶を病院で実行していますが効果はかなり高いです。
新しい病院に配属されたときは、相手が誰かわからなくても、とにかく顔を合わせれば、「おはようございます!」と無差別挨拶をやります。
何でそんなことをし出したかと言うと、私が新しい環境で人間関係を構築することが大の苦手だったことが理由です。
人の顔の見分けはつきませんし、常に「自分は人から変な人と思われるに違いない」という長年ADHDを基盤としてきた思考から、何かしたくてもできなくなってしまっていた時期がありました。こちらに悪気はないけど、不快に思えば相手に嫌われて当たり前です。
でも「全く知らない変な人」から、「よく知らないけど、なぜか挨拶はよくしてくる人」に印象を変えられたらな、と思って実行し、結果として割といい感じで新しい職場に生きている気がします。
知らない人に挨拶をして、それで返ってこなかったら辛いではないか、と言う人もいます。
でも、私は返事などなくても気にしていません。それでも挨拶するだけで、相手の私に対する印象はずいぶんと変わります。