投資原則よりも大切!
投資で成功するために必要なもの
私がウォーレン・バフェットを初めて知ったのは1984年7月だ。当時、証券会社でブローカーとして訓練を受けていて、その一部にバークシャー・ハザウェイのアニュアルレポートを読むということがあった。多くの人と同様に、私はバフェットの明快な文章に感動した。
とくに衝撃を受けたのは、彼が株式を持つことは事業を所有するのと同じだという考え方を上手に示したことだった。大学で一般教養を学んだ私はファイナンスや会計学を勉強していなかったので、バランスシートや損益計算書の数字をこねくり回して株式を理解することは容易ではなかった。ところが、バフェットは株式について考える際に、消費者に製品を販売している経営者と同じように考えるべきだと言ったのだ。そう考えれば理屈はすぐに理解できた。
ブローカーを卒業して投資商品をつくる仕事に回ると、やるべきことが明確に理解できた。顧客の資金はバークシャー・ハザウェイ社および同社がポートフォリオで購入している銘柄に投資するのだ。私はバークシャー・ハザウェイの過去のすべてのアニュアルレポートと同社が保有していたすべての株式公開会社のアニュアルレポートを米国証券取引委員会(SEC)から取り寄せた。何年もかけてバフェットとバークシャーについての新聞や雑誌の記事も読み漁った。まるで野球選手を追い回す少年のようだった。
バフェットの投資の原則に異を唱える人はいなかった。それらを前著『株で富を築くバフェットの法則』で投資の原則として紹介した。私が顧客にバフェットと同じように投資したいかと聞けば、誰もが「もちろんだよ!」と答える。しかし時がたつにつれて、バフェットのように投資することを選んだ人々の中に悩んでいる人がいることに気づいた。
ある株式を保有する理由をわかっていることと、市場の上げ下げの中で耐え忍び頑張ることとの間にはギャップがあり、多くの人にとってそれが大きすぎるのだ。進むべき道を知っていることと、その道を実際に進んでいくことには大きな違いがあることが理解できるようになった。
しかし、30年後のあの土曜日。投資で成功する人々にとって、投資の原則をしっかり学ぶことよりも、適切なマインドセット、ものの考え方のほうが重要だと気づいたのだ。