ルーティン化した甘いコーヒーが
心身に与えるデメリット

「血糖値がぐんと上がると、セロトニンやドーパミンといった脳内物質が分泌されて、ハイな気分になります。だから、『仕事前に気合いを入れるには缶コーヒーがぴったりだ』と誤解してしまうわけです。このハイな気分になるところを『至福点』と言います」(『医者が教える食事術 最強の教科書』より)

 こうした状態は、食後1~2時間のうちに急激に血糖値が140mg/dl以上の高血糖となる「血糖値スパイク」と呼ばれている。空腹時の血糖値が正常な人でも陥りかねない状態だ。血糖値スパイクが起きた後には、血糖値の急低下が起きる。

 血糖値の急激な低下の後に待っているのは、イライラや吐き気などの症状だ。不快な症状から逃れるためにハイな気分に戻りたくなって、糖質をさらに摂取する。これが糖質中毒と呼ばれる状態だ。糖質中毒に陥ると、至福点に到達したい気持ちをコントロールできなくなってしまう。

 糖質中毒を放置すると、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病などの疾患を引き起こす恐れがある。仕事のためのルーティンによって健康を損なってしまっては、人生にとって大損害だ。

 パフォーマンスアップのためのルーティンが意思をもって行われているのか、中毒症状によって引き起こされているのか、その違いは大きい。コーヒーや菓子が仕事中のルーティンになっている場合、糖質含有量を確認してみるべきだろう。

 仕事が終わり、プライベートに気持ちを切り替えるときも注意してほしい。オン・オフのスイッチを飲酒としている場合、アルコールの糖質量も侮れない。飲酒は糖質中毒のみならず、アルコール中毒のリスクもある。くれぐれも自分の意思を失わないよう注意が必要だ。

 危険なルーティンには健康を損なうリスクがあるが、良いルーティンは体の調子を整えてくれる。糖質中毒の自覚がある人は食生活から糖質を控えつつ、運動のルーティン化も目指してみよう。糖質過多の食生活では肥満や糖尿病を発症していることが多く、不調の改善には運動が効果的だ。たとえば朝の早起きやヨガ、夜のストレッチやジョギングなどは始めやすい運動だろう。