20年以上にわたり、のべ6000軒以上の家を片づけてきた「片づけのプロ」、seaさん。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では口コミで人気に火がつき、「予約が取れない家政婦」と呼ばれている。昨年12月にはテレビ「セブンルール」にも出演するなど、話題に事欠かない。
そんなseaさんの片づけ術の集大成が、新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。ーーいちばんシンプルな「片づけ」のルール』だ。この連載では、本書より一部を特別に抜粋・編集して公開する。
じつは1月から3月は、片づけの依頼が多いシーズンなのだという。「大掃除で片づけたのに、あっという間に散らかってしまった」「このままでは新年度を迎えられない!」という人からの依頼が増えるためだ。
なぜ、片づけはうまくいかないのか? 6000軒を片づけたからこそわかる、その原因について解説する。

6000軒を片づけた家政婦が教える「家が散らかるたった1つの理由」Photo: Adobe Stock

散らかるのは、戻すのが「めんどくさい」から

 みなさんは、今までの人生で何回片づけをしたことがありますか?

 おそらく「数えきれない」という方が圧倒的に多いでしょう。一方で、「片づけを一度もしたことがない」という方は、ほとんどいないはずです。大掃除や来客前の片づけで一度はきれいになったのに、また散らかってしまう。だからまた片づけなくてはいけない。

 つまり、無限にリバウンドが起きるせいで、ずっと片づけを繰りかえすはめになっているのです。

 では、なぜリバウンドは起きるのでしょう?

 問いかけておいていきなり結論を言いますが、モノが散らかるのは「戻す」のがめんどくさいからです。これ以外に原因はありません。家の中に少しでも「戻す」ときの障害があると、そこは延々と散らかりつづけます。

 旅行の支度を思い出してください。出かける前の準備はそれなりにできるのに、帰ってきた後でモノを戻す作業は憂鬱で滞りがちなものですよね。

 服や食器、書類も同じ。あらゆるモノは「取り出す」よりも「戻す」ほうが圧倒的にめんどくさいです。「取り出す」ときは身支度や食事といった目的がありますが、「戻す」ことを先延ばししてもすぐには困りません。

 よほどの片づけマニアでない限り、誰にでも「あとでしまえばいいや……」と「戻す」のを先延ばしした経験があるはずです。その結果、収納場所の外に戻しそびれたモノがたまり、新しく購入したモノの置き場がなくなり、ごちゃごちゃした家になっていくのです。

 家の中の散らかる場所を観察すると、必ず、使い終えたモノが元の場所に戻せないまま放置されているはずです。とくに、毎日使う文具や、よく着る服など「よく使うモノ」が戻せず放置されている場合は、何をするにもいちいち動きにくく、ストレスが大きいと思います。

「今度こそ心を入れ替えてキープする!」といくら決意しても、人間は、心の底でめんどくさいと感じていることを決して続けられません。

 努力なしに片づいた状態を保つには、家じゅうの「めんどくさいこと」=「モノが戻しにくいこと」をなくすのがいちばんの近道です。私が「めんどくさいをなくす」ことに特化した本を書いたのも、家が散らかるすべての原因が「めんどくさい」につながっているから。

 本書では「めんどくさい」をなくす方法を網羅してご紹介していますが、「私はいま、めんどくさいと感じている」と気づくだけで、生活の質はぐんと上がります。