「ピアノや音楽の能力って、子どものころからやっておかないと身につかないんでしょ……?」と思っていませんか?
大丈夫です。今からでも間に合います! しかも、ピアノの演奏に楽譜をよむ力は必要ありません。
なぜなら「楽譜に書かれていない音楽を自由に弾く能力」を伸ばしていく方法があるからです。「まったくの未経験だけどピアノに興味がある」「音楽に苦手意識がある」「駅や空港のストリートピアノをさらっと弾いてみたいんだけど……」という人でもすぐに両手で弾けるようになります
本連載では「ピアノが弾けるようになりたい!」という方に向けて、かんたんに両手で弾けるようになる方法をわかりやすく解説します。著者は作曲家でボカロPのmonaca:factoryさん。この度『楽譜がよめなくても90分でいきなりピアノが弾ける本』を出版し、誰でもピアノを自由に楽しくかっこよく弾ける秘訣を、余すことなく伝えています。

なぜ、ピアノにペダルはついている?「踏むだけで、演奏が劇的に変わる!?」その役割とはPhoto: Adobe Stock

何のためにペダルを踏んでいるのか?

 本物のグランドピアノには足で踏むペダルが3つついています。中でもいちばん右側のペダルには、踏むと音を持続させる(手を鍵盤から離しても音が鳴り続ける)役割があります。このペダルはサスティンペダルとよばれ、ペダルを踏んでいる間は指を離しても音が持続(=Sustain)するしくみになっています。持続している音と音が重なり合って豊かな響きが生み出されるのです。

 これがピアノらしい豊かな音を奏でるための重要な要素でもあります。

 このペダルの使い方ですが、ピアノ教室ではすぐに習うものではありません。自分の子どものころの記憶なので曖昧ですが、数年経たないとペダルは使わなかったと思います。

 ただ、やはりペダルを踏んだときの音というのはピアノの醍醐味だと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。お持ちのキーボードにペダルがないという方も「なるほど、ピアノを演奏している人はこういうことをやっていたのか~」と理解できます。

 ペダルを踏まずに演奏すると、音が途切れ途切れになります。音が鳴ってから次の音が聴こえるまでの間に音が少し途切れてしまうのです。極端に表すと「ジャーン」「…」「ジャーン」「…」という具合です。どうしても手が鍵盤から離れるタイミングがあるので、音が途切れてしまうのです。

 対してペダルを踏むと、1つ1つの音が持続し、全体的に「ほわわ~ん」とした響きが得られます。手が鍵盤から離れても、ペダルを踏んでいるので音が途切れません。「ジャーン」「ジャーン」とスムーズに音が鳴ります。

 しかし、ペダルをずっと踏み続けると、音がどんどん重なってしまいます。そのまま演奏していると「もわぁ~~」とした響きが生まれてしまうので注意が必要です。ペダルを「踏む」「離す」タイミングを身につけましょう。

電子ピアノ(キーボード)でもペダルで「本物感」を!

 電子ピアノ(キーボード)には、背面にペダルに接続する端子を挿しこむ穴がついているものがあります。その場合、穴の上部に「SUSTAIN」と書かれていることが多いです。このタイプはサスティンペダルに対応しています。たいていの場合ペダルは別売りで、3000~4000円程度で購入できます(ダンパーペダルとよばれることもあります)。

 なるべく「サスティンペダル対応」のものを買うと、後々表現豊かにピアノを弾きたいときに役立ちます。ただ、すでに電子キーボードを持っていて、ペダルを挿す穴がなくても落ち込まないでくださいね。人にもよりますが、ピアノ教室では習いはじめてからしばらくペダルを踏みながら弾く練習はしません。最初から、かならずなくてはならないというものではないわけです。

(本原稿は、monaca:factory著『楽譜がよめなくても90分でいきなりピアノが弾ける本』を抜粋、再構成したものです)