自主管理の築古マンションには要注意!
住宅ジャーナリスト、マンショントレンド評論家 第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。不動産総合コンサルタント事務所「オフィス・日下部」代表。管理組合の相談や顧問業務、数多くの調査から既存マンションの実態に精通する。また、新築マンション情報など、マンショントレンドにも見識が深い。各種メディア、講演会・セミナーで活躍中。主な著書に『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』(小学館)、『マンション管理・修繕・建替え大全 2021』(朝日新聞出版)ほか多数。
牧野 どんなのですか?
日下部 中古の築古マンションの場合、立地の次に大切なのは管理状況ですよね。しっかりとした大手の管理会社が入っていたり管理組合の意識が高いと問題無いのですが、最近見てすごかったのは、東京都中央区にある某駅のそばで築48年くらいのマンションです。これがフルリノベーション済みですごく安くて、約35平米が2500万円くらいで売りに出ている。
牧野 それは、安い。
日下部 安いですよね。興味があって実際に内見してきたんですけど、自主管理のマンションでしたね。あと、天井がやたら低くて、これは図面ではなかなか想像がつかない。それと管理費等がやっぱり高くて、その広さにしては3万円台とか。
牧野 古いと、管理費はどうしても高くなりますよね。
日下部 他にも東京都新宿区の某駅前のマンションで、同じく築40年くらいでフルリノベーション済み。約55平米が3990万円で売りに出ていたんです。すごく安いじゃないですか。
牧野 安いですね。
日下部 結構きれいなイメージだったので見に行ってきたんですけど、こちらも自主管理で。壁の亀裂もすごくて、亀裂からキノコが生えていましたね……。エレベーターも油圧式なのかな、もうすごいんですよ。ガタガタ揺れて上の階にたどりつくまで大丈夫なのかなって感じで。
牧野 すでに起こり始めていますけど、今後築古のマンションが増えていく中で、管理会社が管理を継続しないマンションはいっぱい出ますよね。
日下部 この10年でもけっこう増えましたよね。拒否というか、もう更新できません、と。
牧野 そう。だから管理会社をちゃんと常に良いところにチェンジしていくような賢い管理組合がいる一方で、管理会社から逃げられちゃう組合というのもある。
たとえば、同じ築年数30年でも、管理の仕方の差によって全く違う物件に見えるぐらい差がつくんですよね。日下部さんがおっしゃったように、自主管理せざるを得なくなったマンションは中古価格が思いっきり安くなるっていう。そういう二極化マーケットが中央区とか港区なんかでも出るでしょうね。
日下部 あと、バリアフリー対策ができていないマンションもありますよね。容積率の関係で半地下とかあったじゃないですか。いきなり階段を下がって、また上がっていくみたいな。ご高齢の方が増えると結構キツいですよね。
あと4階建てくらいで、エレベーターが無いマンションも結構ある。今さらどうしようも無いんでしょうけど、牧野さんが言う二極化は進みそうですね。