時流に乗り、煽られて買うところに、ババ物件の罠が…

急増する築40~50年の築古マンション、ババ物件にダマされないための要注意点!牧野知弘(まきの・ともひろ)
東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研株式会社代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。講演活動に加え多数の著書を執筆している。祥伝社新書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『不動産で知る日本のこれから』『不動産激変』『ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方』などがある。

牧野 不動産が一律で上がったり一律で下がったりという時代は終わったと思っています。安いからといって自主管理の中古マンションなどを買ったら出口がないと言うか、今度、自分が売りたいと思ったときに大幅に価値が下がっている。そんなババつかみみたいなことは、これから頻発すると思います。時流に乗って買う、煽られて買う。そんなところに、ものすごく罠があるような時代になると思いますね。

日下部 マンションって敷地利用権しかないから、更地にしても取り分があまりないじゃないですか。

牧野 価値はあまり享受できないですもんね。

日下部 そうなんですよ。築古のフルリノベーションもいいんですけど、4~5年しか持たないかもしれない。ただ、立地が良くて建て替えができれば良いんですけど、そこの見極めは難しい。まさに出口ですよね。築古のマンションを見ていると、その辺りは怖いなと最近すごく思います。

牧野 築年数が経過したマンションというのは、すごくチェックポイントがあるから、どこを見てどう判断するかをしっかり予習しておかないといけないですね。新築はキラキラしているからダマされやすいけど、中古だと冷静な目でいろいろと比較検討ができる。

 そういった意味では、買う側が中古を見る目を持っておくと、あまりババ物件をつかまなくなる。日下部さんがそういった本をいっぱい書いてくれたら、「勢いで買って失敗した」みたいな事故を減らせるんじゃないですか。

日下部 ありがとうございます(笑)

牧野 買い手のリテラシーが上がれば、良いマーケットになるんじゃないかって思いますね。

日下部 中古は現物を見て考えられるのがいいですよね。新築だと、想像して買う感じが結構あるので。