新築・中古、近未来の不動産業界とは
日下部 新築マンションといえば、最近見に行ったモデルルームは部屋が少ししか無くて、3D映像みたいなものを映しだしていました。「この空間にいるようなイメージをしてください」って言われて、イメージが湧くような、湧かないような……。とにかくすごいなあと思いましたね。
牧野 まだ少し業法の規制があるけど、将来的にはバーチャルリアリティーでマンションが売れるようになりますよね。
日下部 そうだと思いますね。モデルルームもエリアの近い複数のマンションを扱う合同モデルルームのような感じでしたね。
牧野 僕はデベロッパーにいたのでわかるのですが、モデルルーム代って結構高いんですよ。それを用意しなくていいなら、デベロッパーにとっても良い時代になると思います。
日下部 なるほど。モデルルームとはいうものの、商談ルームみたいな感じでしたね。
牧野 テクノロジーがもっと入ってきて、住宅ローンのシミュレーションがより分析できるようになったり、住宅を売却する際の見積もりにも活かされたりできるといいですね。というのは、不動産仲介会社へ行って、たとえば「私のこのマンション、いくらくらいで売れますか?」って聞くと、「牧野さんのマンションだったら、だいたい坪320万円ぐらいですね」って言われるんです。あれって何の根拠で言っているんですかね? 単なる担当者のドタ勘と思惑ですよね(笑)
そういうのは昭和・平成のマーケットで、やっぱり令和は、設備、環境、金利などいろいろな変数を全部足しこんで、AIが「坪350万円で売れます!」みたいに弾き出してくれる時代になると思います。
日下部 当たり前ですけど、中古物件の方が今後ますます多くなる訳ですからね。
牧野 そうそう、もう中古の時代ですよ。
日下部 あとは、先ほどお話した管理状況も判断材料にしっかり入れて欲しいですね。管理がひどいマンションって結構多いんですよ。メンテナンスがされていないだけでなく、全然お金が無かったり。
牧野 そういうのをソフトウェアでパッケージ化したいですね。中古のマンションを買うときに、管理組合は何点、設備仕様は何点みたいな。それらをパッとポイント化して価格に反映されるようになると、すごく買いやすくなると思います。
日下部 15年ほど前、不動産鑑定士の人が管理を鑑定評価に入れるみたいな議論をしていたじゃないですか。結局、そういうのは十数年経っても未だに無いですよね。
牧野 今後、そこにもビジネスの切り口がいっぱいあると思っています。ソフトウェア会社の若い世代と話していると、僕のいる不動産屋と発想も切り口も違うと感じます。そういった異業種が入ってくると、この不動産マーケットは変わりますね。
日下部 家を売却する予定はなくても、自分のマンションと他のマンションの価格を比較したいと希望される方もいますし、さまざまな需要を含め容易に的確な算出ができるようになれば面白いですね。
テクノロジーの発展もそうだし、社会情勢の変化もそうだし、前々々回にお話しした2拠点生活などの住まい方もそうだし、いろいろな要素によって不動産マーケットがここから数年先のうちに大きく変化しそうです。
牧野 そうですね。しっかり注視していきたいですね。
おわり