「ピアノや音楽の能力って、子どものころからやっておかないと身につかないんでしょ……?」と思っていませんか?
大丈夫です。今からでも間に合います! しかも、ピアノの演奏に楽譜をよむ力は必要ありません。
なぜなら「楽譜に書かれていない音楽を自由に弾く能力」を伸ばしていく方法があるからです。「まったくの未経験だけどピアノに興味がある」「音楽に苦手意識がある」「駅や空港のストリートピアノをさらっと弾いてみたいんだけど……」という人でもすぐに両手で弾けるようになります
本連載では「ピアノが弾けるようになりたい!」という方に向けて、かんたんに両手で弾けるようになる方法をわかりやすく解説します。著者は作曲家でボカロPのmonaca:factoryさん。この度『楽譜がよめなくても90分でいきなりピアノが弾ける本』を出版し、誰でもピアノを自由に楽しくかっこよく弾ける秘訣を、余すことなく伝えています。

すぐにピアノが弾ける!初心者向け2万円以下の電子キーボード選び「3大ポイント」Photo: Adobe Stock

3つの機能に注目

 ピアノをはじめたいけど、そもそも楽器を持っていない……。「一体どれを買えばいいの?」「楽器ってやっぱり高い?」とお悩みの方も多いと思います。本物のグランドピアノは高価ですし、住宅事情も考えるなら、イヤホンやヘッドホンが接続できる電子キーボードではじめるのが最適です。

 ピアノには鍵盤が88つあります。電子キーボードで同じ数のものもありますが、入門者にはここまで多くなくても大丈夫です。長い、重い、置き場所に困るなどのデメリットもあります。50鍵ほどあれば両手でも十分弾けます。

 そこで「鍵盤数は50以上」「予算は上限2万円」の電子キーボードを探したところ、初心者向けとしては十分なスペックのものがありました。これであれば、持ち運びやすく、机の上に置いて弾くこともできて部屋を圧迫しません。

 楽天やAmazonなどで売れ筋を調べてみると、ランキング上位には60鍵程度の鍵盤数で、6000~7000円という格安モデルが目立ちます。「売れているし、これでいいか」とすぐに購入するのは少しお待ちください! キーボード選びの際には、次の3つの機能が備わっているかを調べてみてください。

①タッチレスポンス機能(弱く弾けば小さい音が、強く弾けば大きい音が鳴る仕組み。表情豊かな演奏が可能)
②サスティンペダルが使える(別売りのペダルを挿すことができる。サスティンとは、ペダルを踏めば鍵盤を離しても音が持続する機能。ピアノらしい上品な響きが生まれる)
③トランスポーズ機能(音の高さ=キーを変えられる機能。白い鍵盤だけを弾いても黒い鍵盤を弾いた時と同じ音を鳴らせる)

 後々のことを考えると、これら3つをすべて満たすものを探すのが望ましいです。ただ、①と②の機能は、6000~7000円のモデルにはついていないことが多いです。楽器店が近くにある方は、お店の人に上記の①~③が搭載されているか聞いてみましょう。

 また、「サスティン機能」と「サスティンペダルが接続できる」は意味が違うことに注意してください。物理的なペダルを接続できるかどうかが大事です。ペダルを挿す穴がキーボード背面にあるかどうかを写真でチェックしましょう。

価格帯と機能のめやす

 6000~7000円のタイプは、値段の安さが最大のメリットです。音の強弱やペダルを踏んだ時の表現など、細かいことはできない可能性が高いです。「とりあえず手軽に弾いてみたい!」という時には、選択肢になると思います。

 1万5000円程度ですと、上記の機能①~③を満たしてくれるものが増えてきます。サスティンペダルがセットになっているものもあります。ケースが付属していて、持ち運びしやすいコンパクトなモデルも多いです。メトロノームや録音の機能など、見た目やメーカー以外にもさまざまな違いがあります。

 1万8000円程度になると、実際のピアノを作っている楽器メーカー(ヤマハなど)の製品にも手が届くようになってきます。音質や見た目もピアノらしくなってきます。ペダルが別売だと割高に感じるかもしれませんが、すぐに買わなければいけないとわけではありません。慣れてきたタイミングで購入するのもよいです。