全国2700社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。
日頃から「数字のある会話」をしているだろうか
「数字」の重要性を受け入れたプレーヤーは、自分の目標達成のために動くようになります。
つまり、心を鬼にするようになる。
すると、ある1つの共通点が現れます。
それは、「会話の中に数字が出てくる」のです。
逆に、会話に数字がない人というのは、どういう人でしょうか。
「これを売りたいんです!」
「このビジネスはうまくいきます!」
こういった話し方をする人がいます。
いわゆる「情熱で押し切るようなタイプ」です。
新入社員や20代の頃であれば、この言い方でも通用したかもしれません。
こういう若者を過剰に評価してしまう経営者や社長がいることも事実ですからね。
「情熱タイプの人」の壁
しかし、現実はそれだけではダメです。
情熱で押し切る方法しか知らない人も、どこかでその壁にぶつかります。
30代あたりで、こういう情熱的な言い方しかできない人は、社会人としてかなり厳しい状態になっていきます。
年次を経るにつれて、数字の根拠を出し、論点を整理して話すようにしないと伝わらない場面が増えていくはずです。
「この商品は1000万円の売上が見込めます。その理由には3つあって……」
「このシステムを社内に導入したら、毎月200万円のコストが削減できます。それだけで5人分の給料が捻出できます……」
このように、誰かに伝える段階では、数値化させることが有効です。
情熱は最後の「スパイス」である
感情にうったえかける表現は、最後の味付けのようなものです。
腐った肉にどんなにスパイスを振りかけても、腐っている肉は腐っています。
もちろん、人間ですから数字だけで動かない面もあるでしょう。そこで最後に熱を伝える……、というのが正しい順番です。あくまで数字が先です。
よく、社長が験担ぎをしたり、神社にお参りをしたりします。それは、
「やるべきことはすべてやった」
「数字的な検証はすべて考えに考え抜いた」
というように、他にやるべきことを終えてから儀式的に行なうから意味があるのです。これも、順番が逆にならないことが大事です。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヶ月でマザーズ上場を果たす。2022年3月現在で、約2700社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、29万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。