NHK Eテレ『先人たちの底力 知恵泉』でカリスマ経営コンサルタントとして紹介された神田昌典氏が、アメリカで百年以上続くコピーライティング技術を日本で普及させ、はや四半世紀。第一人者25年の集大成が『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』という468Pの大著だ。
4つの力(判断力・思考力・表現力・発信力)が身につく【コピーライティング技術100】
【BTRNUTSS見出しチェッカー】【PASBECONAテンプレート】【PMMサーチシート】初公開
「どう言うか」だけでなく「何を言うか」まで完全網羅。紙・ウェブ・スマホ完全対応
比類なき最強の教科書。第一人者、25年の集大成
神田氏は言う。「タイトルを『大全』としたのは誇張ではない。従来のコピーライティングにとどまらない広範な分野──事業戦略、マーケティング戦略から効果計測・分析、テキストデザイン、表現技術や発想法まで──総計100に及ぶコピーライティング技術を横断的につなぎ合わせ、実用しやすい体系にまとめあげるには、果てしない作業が必要となった。そのモチベーションを持続できた理由を、こっそりと明かせば、著者たちの個人的な事情がある。実は、共著者2人は、人生の先行きが見えず、大きな壁にぶちあたっていたときに、コピーライティングに救われたからだ」
第一人者の神田昌典氏と、共著者で脳性麻痺の子どものために大企業の管理職を辞し、マーケティング・コピーライターとなった衣田順一氏。今回も読者の役立つポイントを本文から抜粋して紹介する。

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A/Bテストとは?

 コピーを書くときは、読み手の心に刺さるよう、事前リサーチから最適な言葉を選び出して書くが、どこまでいっても想定の域は出ない。

 実際の相手の反応を見ないと答えは出ないのだ。

 顧客の反応をテストして確認することは、クロード・C・ホプキンス(1866~1932)が1923年に出版した『My Life in Advertising』(邦訳『広告マーケティング21の原則』)の中ですでに紹介されている。

 その後、アメリカの広告業界で58年間も活躍し続けた伝説のコピーライターであるケープルズが、メッセージをテストして、反応がいいものをデータとして積み上げていき、再現性を高めていった。

 なかでも最もポピュラーなのが、「A/Bテスト」だ。

 A案とB案をテストし、反応のいいほうを選んでいく。

 たとえば、文章の中身はまったく同じで、見出し(ヘッドライン)だけ、あるいは、画像だけなど、一部分だけを変えて反応を見る。

 一度に2ヵ所以上変える「マルチバリエイトテスト」もあるが、一度に複数箇所を変えてしまうと、どこに効果があったのかがわからないという欠点がある。

 ケープルズが活躍した時代は、紙のセールスレター全盛なので、AとBを郵送し、申込の返送が多かったほうを効果的と判断していた。

 だから、A/Bテストにはかなりの時間がかかった。

 しかし、ウェブなら、大幅に時間が短縮できる。

 しかも、マーケティングの様々なプロセスを自動化できるマーケティング・オートメーション(MA)を使えば、さらに高速・効率化できるのだ。

 たとえば、メールの件名でA/Bテストをする場合、ある一定比率や人数で振り分けたリストでA/Bテストし、開封率の高いほうを勝者と位置づけ、残りのリストには勝者メールだけを自動的に送る。

 これを人がやろうとすると、かなりの手間がかかる。

 ケープルズが、セールスレター時代の新聞広告の見出しで行ったA/Bテストが、本書166ページで紹介した次の事例だ。

クーラーのA/Bテスト、<br />問合せ数が「2.5倍」になったのは、どっち?

 B案の見出しのほうが2.5倍も問合せがあったという(『ザ・コピーライティング』)。

 A/Bテストで、条件を変えることにより、有益で興味深いデータが集められる。

 ところで、DM時代は、顧客からのレスポンスをどうやって把握していたのだろうか?

 答えは、商品・サービスの申込や資料請求などの返信用ハガキなどを同封し、それによって把握していたのだ。

 ちなみに、新聞・雑誌広告の場合は、申込や資料請求の返信用住所の私書箱の番号を分けたり、クーポンの番号を分けたりして、どの掲載媒体からレスポンスがあったのかがわかるようにしていた。

 たとえば、雑誌Aの広告クーポンコードは123、雑誌Bは456、雑誌Cは789としておき、申込や資料請求の際にクーポンを切り取って同封して送付すれば、どの媒体からのレスポンスかが把握でき、媒体別広告効果を測定できたのだ。

 次回は、実際のA/Bテスト事例を紹介しよう。

PS.1.『コピーライティング技術大全』の活用法を解説したセミナー動画をご覧いただけます。
(この動画は予告なく終了することがあります)

PS.2.本書の巻頭・巻末には、あなたの売上を劇的に上げる4つの武器・・・【PMMサーチシート】【PMMセルフチェックシート】【「BTRNUTSS」見出しチェッカー】【PASBECONAテンプレート】を書籍初公開しました。四半世紀の叡智を凝縮したもので、即効性と再現性が担保されています。

(本原稿は、発売たちまち大重版となった、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)