いくつか注意すべき点がある。鳥居薬品が開発しているエキス剤は、2~3年間の治療中はシーズン外も毎日投与する必要がある。途中でさぼってから再び投与すると口の中が腫れることもあるので、「体質改善2ヵ年計画」を自らに課すくらいの覚悟で、治療に臨みたい。

 もう1つ、行政からの縛りで発売初年度は2週間分までしか薬は処方できない。このためこの1年間に限っては、頻繁に通院することになる。

 免疫療法は100年以上前からある治療法であり、鳥居薬品は注射剤のスギ花粉アレルゲンを発売して約50年になる。この古い治療法において、近年は投与するスギ花粉エキスの質が向上し、効果がより安定的になった。2000年以前は投与量が同じでもエキスに含まれるアレルゲンの量が異なったりして、副作用につながるリスクもあった。

 新技術がアレルゲン免疫療法をよみがえらせたのである。

iPS細胞を使った加齢黄斑変性治療も
実用化ラッシュが期待される再生医療

 対して、次世代医療の本命とされる再生医療に弾みをつけたのは「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」。ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大学教授が作り出した万能細胞である。

 iPS細胞は皮膚細胞などに「山中遺伝子(ヤマナカファクター)」と呼ばれる4つの遺伝子を導入して作られる。この4つの遺伝子の誘導によって細胞は初期化されiPS細胞になるのだ。

 病気やケガで臓器が傷ついても、患者の皮膚などからiPS細胞を作り、iPS細胞から目的の組織や臓器を作り、移植する。これが本当に実用化できるならば、究極の再生医療となり得よう。

 もちろん、現実はそう簡単ではない。

 それでも先駆けとして理化学研究所が失明原因となる加齢黄斑変性の患者にiPS細胞から作った網膜細胞を移植する臨床研究を13年に実施する。最速で進めば5年後の18年には実用化できるかもしれない。

 国が承認した再生医療製品は現在はわかず2品目。しかし、加齢黄斑変性のほかにも今後5年内の実用化が期待される製品候補には毛髪、軟骨、角膜などがズラリと並んでいる。