本田健氏 絶賛!「すべての幸せがこの1冊に詰まっている!」
『92歳 総務課長の教え』の著者で、大阪の商社に勤務する92歳の玉置泰子さん。「世界最高齢の総務部員」として、ギネス世界記録に認定された現役総務課長だ。1956(昭和31)年の入社から総務一筋、勤続66年。「私に定年はない。働けるかぎりは、いつまでも頑張る!」と生涯現役を誓う“世界一の先輩”が、長く幸せに働く63の秘訣を手とり足とり教えてくれる。
凡事徹底、なかでも掃除を重視
【前回】からの続き
なんでもない平凡で当たり前のことを徹底的にやり遂げる――とても大切なことですが、地道なことだけに、なかなかできていない人が多いことでしょう。
当たり前のことを中途半端にやっても意味がありません。当たり前のことを徹底的にやるからこそ、意味があるのです。
一日や二日、当たり前のことを徹底したからといって、大きな変化は起こらないでしょう。でも、それを1年、2年と続けられれば、話は違ってきます。
「継続は力なり」というように、「積小為大」(日々の小さな努力が大きな成果につながる)で当たり前の積み重ねが、大きな違いを生むのです。
当たり前のことを徹底的にやる。これを「凡事徹底(ぼんじてってい)」といいます。
挨拶をする、決められた時間を守る、身だしなみを整える……。凡事徹底するべきことは、考えてみれば山ほど見つかります。
なかでも、大事にしたいのは、掃除です。
凡事徹底で重視すべきことは、一般的に「5S」と呼ばれています。
5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)」という5つのSです。なかでも私が重視しているのが、清掃(掃除)なのです。
掃除をしないと、整理整頓もできません。
会社のデスクを掃除して整理整頓したら、パソコンに保存しているいらないファイルやソフトもゴミ箱に入れて削除しておきます。
デスクもパソコンも、必要なものがどこにあるかが一目瞭然になっていれば、仕事の効率も上がります。
デスクやパソコンの状態は、それを使う人の頭の中身に影響を与えるともいわれます。
整理整頓が行き届いていれば、頭の中身も整理整頓されるようになり、その回転は速くなるということです。
現会長は社長時代、口癖のように「(商品の)即納も大事だが、即答がいちばん大切だ」といっていました。その点、「掃除⇒整理整頓」がしっかりしていれば、即答も可能です。
上司や先輩、取引先からの急なリクエストにも慌てないで応えられますし、お客様から電話やメールで寄せられた問い合わせにも、即座に答えられるでしょう。
また、清潔なオフィスは働きやすく、社員のやる気を引き出してくれるという面もあります。私は、新入社員時代から今日まで、朝出社したら、最初にやることは掃除と決めています。
自分のデスクまわりはもちろん、会議室やトイレといった共有スペースも、掃除をするようにしています。
日本の学校では、子どもたちが教育の一貫として自分たちで教室や廊下、トイレの清掃をします。一方、海外の学校では、掃除は専門のサービススタッフに任せることのほうが多いようなので、海外の人たちには子どもたちが進んで掃除をする習慣は珍しく思われるようです。
海外の学校と同じように、オフィスの清掃も、専門スタッフが担っている会社が大半でしょう。
しかし、私の会社では、特別な場所を除いて、職場の清掃は、社員が率先して行います。
それは、66年前に私が入社した頃から変わっていないことです。
私は会社をよく知る古参の社員として、新入社員の研修を担当しています。
そこでも凡事徹底と掃除の大切さを説いています。
先日、まだ1年目の新入社員が、朝、トイレの洗面台を使ったあと、水はねを紙でキレイに拭きとっている場面に出くわしました。
「おはようさん。あら、キレイにしてくれているんやね。ありがとう」と声をかけたら、「課長、新入社員研修で、掃除がいちばん大事やっておっしゃったじゃないですか。凡事徹底です!」という明るい答えが返ってきました。
私は、「あ、覚えてくれていたんや」と、とても嬉しい気持ちになりました。
【次回へ続く】