今後の注目は
ペット介護・ペット信託

――「動物医療」は生目田さんの専門領域でもあります。動物医療の最近のトレンドはどのようなことがあるのでしょう。

生田目 動物病院の最大のトレンドは、動物医療のニーズが拡大し、より高度化・細分化しているという点です。

――確かに、最近は「がん」のような高度治療をする犬や猫の話も珍しくありません。

激動!1.5兆円「ペットビジネス」の最新動向写真:長田慶

生田目 ペットブームと動物医療の発展はリンクしていて、ペット人気が高まるほどに、動物医療の技術や環境が進化します。90年代と現在の動物医療を比べると、その質の向上には隔世の感があります。

 ペットブームが動物医療を発展させ、獣医師の技術が向上することで、飼い主はペットに合わせた治療やサービスを選べる。そんな進化のサイクルが回っているのです。

――ペット用品もさまざまな商品が登場しています。

生田目 「ペット用品」では、ペットシーツや猫砂などの消耗品が代表格です。防臭や吸収性の高い便利なものがどんどん登場していますね。

 ほかにも、オーラルケアやボディケア、ウエットティッシュや消臭剤といったケア&衛生用品、おもちゃやおやつ、ペット用の洋服やリードなど、ペット関連グッズのバリエーションはどんどん広がっています。また、ペット用品がホームセンターやドラッグストア、スーパーなどで日常的に買えるようになったのも便利になった点です。

「ペット生活関連サービス」は、ペットにまつわる専門サービスがひとつ。トリミングサロンやペットシッターなどがそれにあたります。特にトリミングサロンはペットショップや動物病院で併設するケースも多く、店舗数が急増しています。

 もうひとつの領域が、ペット保険のような金融商品です。ペットの医療費は高額となりがちですが、日本では20年ほど前にペット保険が登場し、今では複数の企業が商品を展開しています。

 最後の「その他」の領域では、近年登場している新しいサービスが中心です。ポイントは「モノ」から「コト」への広がりです。それを牽引しているのがDXです。たとえば、保護犬猫と里親、ペットシッターと飼い主などのマッチングサービスといった、さまざまなプラットフォームが立ち上がっています。

 それぞれの領域が加速度的に進化していますが、今後伸びが期待される注目分野は、ペットの介護、飼い主の入院・施設入居・死亡などに伴うペット信託です。人間もペットも高齢化が進む中、これらのニーズは高まっており、成長が期待されています。

 市場の成長とともに、より深化していくペットビジネスですが、やはり医療の分野はまだまだ足りないものがたくさんあると感じています。逆に言えば、まだまだビジネスチャンスのある分野だということ。私はここに新しいサービスやビジネスが生まれる可能性があると思っています。