『賢明なる個人投資家への道』の著者・かぶ1000は、株式投資歴30年以上の専業投資家。中2のころから体育のジャージ姿で地元の証券会社に通い詰め、中高年の投資家にかわいがられ、バブル紳士にはお金儲けのイロハを教えてもらった。中3で300万円、高1で1000万円、高2で1500万円へと株式資産を増やし、会計系の専門学校卒業後、証券会社の就職の誘いを断って専業投資家の道へ。2011年に“億り人”になると、2015年に3億円、2019年に4億円を突破! アルバイト経験さえない根っからの専業投資家が、お金の知識と増やし方を徹底指南する!

【専業投資家かぶ1000が教える】<br />個別株投資の成否を判断する1つの基準

投資の成否は
インデックスとの比較で判断

投資の神様ウォーレン・バフェット氏は、「自分が死んだら、資産の9割はS&P500に連動するバンガード社のETF(上場投資信託)、残りの1割は米国債で運用するように」と遺言しているそうです。

S&P500とは、アメリカを代表する500銘柄が採用されている株価指数(インデックス)です。つまりバフェット氏は、資産の9割をインデックスファンドに投資することをすすめているのです。

何度も触れているように、日本でもアメリカでも、インデックスの過去のトラックレコード(運用実績)は年7%ほどです。複利で運用すれば、10年で約2倍になる計算です。配当金を再投資すれば、成績はもっとよくなるでしょう。

それでも個別株投資をするのは、インデックス投資のパフォーマンスを上回るリターンを得るためです。

インデックス投資で満足できるなら、わざわざインデックス投資よりリスクがあり、調査も必要な個別株投資をする必要はありません。私が個別株投資を続けているのは、インデックス投資を上回る成績をあげられているからです。

個別株投資の成否は、インデックス投資との比較で判断するようにしましょう。

インデックス投資でも毎年必ず7%ほどの利回りがあるわけではありません。7%を大きく上回る年もあれば、マイナスに陥る年もあります。それをならして平均化すると、過去の運用実績が年率7%ほどだということです。

100万円分の個別株投資が1年で120万円になったら、利回り20%で20万円の含み益が出ます。インデックス投資の平均値の約3倍ですが、その年のインデックス投資が利回り30%だったとしたらインデックスに負けています。

投資した金額に対して何%プラスになったかで個別株投資の成否を判断するのではなく、その年のインデックス投資の利回りを上回っているかどうかを1つの物差しにするべきです。

1~2年といった短期的なスパンでは、個別株投資はインデックス投資に負けることがあります。バフェット氏のような投資の神様ですら、負けることがあるのです。

特に、コロナ禍以降の株価の上がり方は異常でしたから、2020年はインデックス投資に負けている個別株投資家のほうが多かったのではないかとさえ思えます。

資産形成のための株式投資は中長期スパンで行うべきで、わずか1~2年の運用成績で早計に判断しないほうがいいと思います。ただし、仮に10年間個別株投資を続けてきて、その間のインデックス投資の平均利回りに勝てないとしたら、そのときは負けを認めてインデックス投資に切り替えたほうが得策かもしれません。

リスクをとって銘柄を選び、四半期ごとに有価証券報告書や決算短信を読み込んでいるのに、インデックス投資に勝てないとしたら、私ならちょっと考え込んでしまいます。

中長期で続けると7%ほどの運用実績のあるインデックス投資なら、有価証券報告書や決算短信を読み込む必要もなく、日常的な株価の変動に心を乱される恐れもないからです。