仕事や人間関係…しんどいことが多い、という人にぜひ読んでもらいたいのが、「メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術」(わび著)だ。著者のわび氏は元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウン。復職を果たした後、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、転職。現在は外資系企業の社員として活躍している。自衛隊などの社会人経験で身につけた仕事術、メンタルコントロール術についてツイートした内容が人気を集め、Twitterを開始して2年半でフォロワーは13万人を突破、10万超えいいねを連発し、ネットメディアにもたびたび取り上げられている。仕事・人間関係で生き抜く知恵が詰まった本書。今回は、発売を記念して特別に本文より一部抜粋、編集して紹介する。
自分の考えはあくまで「叩き台」
仕事は、ひとりですべて決めて進められることって意外と少ないですよね。
大きなプロジェクトだけでなく、日々他の人との業務の調整や、飲み会の場所の選定など、いろいろな場面で「合意」してもらう必要があります。
そして、合意してもらうためには、パワーバランスであったり、人間関係があるので、よけいな神経を使います。
私も社会人になったばかりのころから、理不尽な環境での「合意形成」の連続でした。経験値ゼロからいきなり幹部自衛官になったので、先輩や上司だけでなく、部下よりも知識と経験がありません。
いくらロジックを積み重ねて自分の意見を提案したところで、なかなかOKしてもらえない、ということもしばしばありました。
そんなときに先輩から教えてもらったのは、「思考過程ペーパー」です。
これは、陸上自衛隊の幹部自衛官なら誰もが知っているもので、簡単に言うと、「私はこんな思考過程で考えました」を1枚の紙にまとめたものです。
この「思考過程ペーパー」を先輩や上司に見せながら話をすると、「ここが少しちがう」など、どの部分で合意できないのかがよくわかります。
また、部下に対しても、「何か足りないことある?」と意見を取り入れることもできます。
もし足りないことや意見が異なる部分があれば、赤鉛筆などで本人に書いてもらいます。
第三者に赤字を入れてもらうことで、他の人がこの紙を見たときに、「あの人が言っているなら間違いないだろう」となり、最終的に意見も通りやすくなります。
合意形成のポイントは、自分の考えはあくまで叩き台と考え、先輩や上司の経験や知恵を借りながら、意見を集約して目に見える形でひとつにまとめることです。
自分の意見を押し通すのではなく、1枚の紙に自分の考えとみんなの考えを載せていくと、合意がスムーズに得られるようになります。ぜひやってみてください。
(本原稿は、わび著『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』から一部抜粋・改変したものです)