【SNSの地雷】実は嫌われる「ついやりがちなリプライ」ワースト3

相手も自分も心地いいコミュニケーションをするために、「言葉の使い方」はとても重要だろう。言葉一つで、前向きな気持ちや幸せな気持ちになれるし、その逆も然りだ。このたび、さまざまなシーンごとにすてきな言い方を紹介する『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳』が刊行された。著者は7万人を超える人にコミュニケーションを伝えてきた吉井奈々氏だ。吉井氏は全国で講演をするほか、発信しているYouTubeの映像は1日10万時間以上再生され、総再生回数は900万回を超すコミュニケーションYouTuberでもある。
今回は、本書の発売を記念し、特別インタビューを実施。第6回のテーマはSNSでのリプライ(コメント)。実は嫌われるリプライ3選についてお届けする。(取材・構成:小川晶子 写真:疋田千里)

NGリプライ1:アドバイスやドヤ発言

──本の中には、メールやオンラインでのコミュニケーションのほかSNSでの言葉についても書かれていて面白かったです。私もSNSを活用しているので、「あるある」と思いながら読みました。たとえば、コメント欄でのアドバイスやドヤ発言。見知らぬ人からアドバイスコメントをいただいたとき、返答に困ることがあります。

吉井奈々(以下、吉井)「それって〇〇心理学でこういうことだよね」「そういうときはこう考えるといいよ」なんていうアドバイスコメント、よくありますよね。知識のある自分をほめてほしいんでしょう。でも、通りすがりの人からのアドバイスは誰も求めていません。私のところへもアドバイスコメントがありますが、ポチッと見えなくします。

 だって、自宅の庭でガーデニングしていたら、たまたま近くに通りすがった人が「この肥料使うといいよ」って勝手に肥料を入れてきたらイヤでしょ? 私の庭なんだから、勝手に何か放り込まないでくれって思いますよね。

 SNSはお互いの顔が見えないから、相手のことを想像する力が必要です。

NGリプライ2:いきなりタメ口

──見知らぬ人からいきなりタメ口のコメントが来ると「ん?」って思いますよね。

吉井:いつから友だちになった?って(笑)。「フレンドリー」と「なれなれしい」は似て非なるものです。何でも自由に書けるインターネットの世界ですが、礼儀をわきまえることは必要です。私のところへも「奈々さんならどう思う?教えて~」ってタメ口でメッセージがきますが、「ん?」ってなります。

 SNS上で、言葉で損をしたとか恥をかいた経験がないのでしょうね。

 人が言葉を変えるのは「損をしたとき」か「恥をかいたとき」だと思います。社会人になるまでは若者言葉でOKだったけれど、会社に入って取引先と話をするときに恥ずかしい思いをしたりすると「言葉を変えなきゃ」と思いますよね。

NGリプライ3:不幸アピールと幸せアピール

──対面していればもう少し考えるのに、SNSだと深く考えずに書いてしまうことってありそうですね。あともう一つ、「じつは嫌われるリプライ」を挙げるならどんなことでしょうか?

吉井:コメントでの不幸アピールや、幸せアピールも「ちょっと待って」と思います。たとえば、「娘が〇〇学校に合格して、今日は入学式でした!」といった投稿に対して「うちはその学校落ちました。不合格だった人の気持ちがわかりますか?」というコメントをつける人。

「夫がハンバーグを作ってくれました!」という投稿に対して「うちも共働きなのに、夫はご飯を作ってくれたことがありません。ゴミ出しさえしません!」というコメントをつける人。

 その不幸アピールは、誰も幸せにしませんよ。「家族でグアムに旅行!」という投稿に「旅行いいな~。私も先月はドバイ行ってきたよ~!楽しんでね!」のような、投稿に便乗した幸せアピールも、印象が良くないですね。マウントをとっているととられかねません。

「いや、マウントとるつもりで書いたわけじゃないです」「同情してもらいたかったわけじゃないです」と言うかもしれないけど、誤解されないような振る舞い方をするのがオトナ女子です。

 自分の話を聞いてもらいたいのであれば、人の投稿へのコメントとして書くのではなく、自分自身の投稿として書けばいいのです。もちろん、その際も読み手のことを考えることが必要です。SNSはだれが見ているかわからない場所という基本を忘れないでほしいですね。

【SNSの地雷】実は嫌われる「ついやりがちなリプライ」ワースト3吉井奈々(よしい・なな)
一般社団法人JCMA代表理事、コミュニケーション講師
企業や教育機関でコミュニケーション講師として活躍。15年間にわたって約7万人に「心を大事にするコミュニケーション」を伝えている。
出生時に割りあてられた性別は男性だったが、性別適合手術を受けて戸籍を女性に変更し、現在は男性と結婚。自身の生き方と経験から、さまざまな立場の人の気持ちを汲んだコミュニケーションが得意。
日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当。現場で使えるコミュニケーションスキルやマネジメントの考え方は再現性が高いと評判で、大手コンビニチェーンでの講演は「また来年も聞きたい講演会ナンバーワン」に選ばれる。著書に『オトナ女子のすてきな語彙力帳』など。
【SNSの地雷】実は嫌われる「ついやりがちなリプライ」ワースト3