他人とのコミュニケーションは、気を遣うし疲れます。
けれどなるべくラクに、自分らしく、たのしく会話したいもの。そしてできれば、良い印象も与えたい! ですよね。
この連載では、日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当し、15年間にわたって約7万人の老若男女にコミュニケーションを教えてきた『オトナ女子のすてきな語彙力帳』の著者、吉井奈々さんが「自然体のまま」で「相手も自分も大切にするコミュニケーション」のコツをご紹介します。
遅刻したら、まずはこのひと言
人間だれでも遅れること、ありますよね。遅刻しそうになったとき、こんな連絡を入れていませんか?
「すみません」
「少し遅れます」
けっして間違いではありませんが、「少し」や「もうすぐ」「ちょっと」は、人によって感覚が異なるあいまい言葉。相手を待たせる場合は、次のように具体的な数字で伝えましょう。
「申し訳ありません。◯分ほど遅れます」
「電車が遅れていて、◯分ほど遅れそうです」
また、終わり時間がはっきりしない場合は区切りを伝えて、目安を知らせましょう。
「お待たせしてごめんなさい。
◯◯が終わるまでお待ちいただけますか」
時間にかかわらず納期が遅れるときも同じ考え方です。
「申し訳ありません。明日の午前中でもよろしいでしょうか」
このように、相手がスケジュール調整しやすいように、どれくらい遅れるのかを提示します。
遅刻しているのに、高感度アップのひと言
到着の時間や目安を伝えたら、プラスアルファでこんなひと言を添えてみてください。
「あたたかい(涼しい)場所で待っていてください」
待ち合わせ場所が屋外の場合は、近くのカフェなど、どこか落ち着ける場所で待っていてもらいましょう。その際、待たせた相手のお茶代は、お支払いするのがスマートですね。
ギリギリ間に合いそうな場合も一報を
遅刻しそうな場合はギリギリセーフを目指すのではなく、まず連絡を。「走ればなんとか間に合う!」と、学生が校門まで全力ダッシュするような振る舞いは、大人らしくありません。
「ギリギリになってしまいそうです」と連絡した後に、「予定どおりの電車に乗れたので間に合います」や「1本遅れの電車に乗れたので◯分には到着します」などの報告を入れると丁寧ですよ。
相手を待たせたくない時のひと言
到着したら、え? 待っててくれたの? 先に始めてくれてよかったのに…ということ、ありませんか? そんなときはあらかじめ、
「申し訳ありません、先に始めてください」
と伝えましょう。会議や打ち合わせの場合は、
「〇〇の件を◯◯しておいてください」
など、どう始めればよいか具体的に伝えておくのもいいですね。
「謝り過ぎ」も場の空気を悪くする
遅れたことを引きずって、暗く落ち込んだ雰囲気や、申し訳ないという罪悪感たっぷりの表情で自分責めの反省会を続けていると、一緒にいる人にかえって気を遣わせます。
遅れたときは素直に謝り、許しを得たら、そこからは「名誉挽回」に心をシフトチェンジして。場の空気をいい方向にもっていくことを心がけましょう。
『オトナ女子のすてきな語彙力帳』では、無理なく自然体でできるコミュニケーションのヒントをたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。