ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
トルクメニスタンってどんな国?
トルクメニスタンは中央アジアにある国で、カスピ海東岸に位置します。北部はカザフスタン、ウズベキスタンと、南部はイラン、アフガニスタンと国境を接しています。
国土のほとんどをカラクーム砂漠が占め、イランやアフガニスタンに接する国境地域以外は砂漠気候です。
ソ連時代、乾燥した大地は、ウズベキスタンとの国境沿いを流れるアムダリア川を分岐したカラクーム運河によって灌漑され、他の中央アジア諸国同様に綿花栽培を担いました。綿花は現在でも重要な輸出農産物です。
世界屈指の天然ガス埋蔵量
トルクメニスタンの経済を支えているのは、天然ガス・石油生産で、とくに、世界第4位(2019年)の埋蔵量を誇る天然ガスは輸出額の約半分を占めています。
主要なガス田は国内東部に集中しています。2006~2007年にかけて発見された東南部のガルキニシュ・ガス田は世界第2位の埋蔵量を誇ります。
採掘された天然ガスは、パイプラインを通じて輸出されます。輸出先として近年存在感を増しているのが中国です。
経済発展と環境問題が深刻化する中、天然ガス需要が急拡大している中国は、2009年にトルクメニスタンから広東省までつながるパイプラインを完成させました。
その結果、2015年には中国の天然ガス輸入の50%以上をトルクメニスタンが占めるまでになりました。中国の天然ガス需要のさらなる拡大によりその割合は減少していますが、依然として約30%を占める主要供給国です。
トルクメニスタン
面積:48.8万㎢ 首都:アシガバット
人口:558.0万 通貨:マナト
言語:トルクメン語(公用語)、ロシア語、ウズベク語
宗教:イスラーム93%、キリスト教6.4%
隣接:カザフスタン、ウズベキスタン、アフガニスタン、イラン
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)