「努力しているのになぜか報われない」悩みの根本原因

──「努力しているのになぜか報われない」「いつになったら報われるのか」といった悩みもよく耳にします。結果につなげるためには、どうすればよいでしょうか。

棚田:勉強に限らず仕事でもそうですが、こういう悩みを口にする人は、「努力」という言葉を「とにかく動くこと・数をこなすこと」だと思いがちですよね。たとえば、資格試験の勉強ならば、過去問を何十回も繰り返し解いているのに合格できなかった、こんなにやったのに! といったような。エネルギーをかけるべきポイントを少しずらすだけで、結果は大きく変わると思います。

──意欲があり、精一杯の努力はしているにもかかわらず、結果に繋がらない人にありがちなミスは何でしょうか。「この習慣をまずやめてみよう」など、おすすめがあれば教えてください。

棚田:「とりあえず」で動いてしまうことですね。結局、合否は継続して勉強できるかどうかにかかっているんですよ。どんなに有効な学習法を使ったとしても、続けられなければ意味がない。

資格試験を受験する際、最もモチベーションが高いのは「受験しよう」と決意した瞬間です。最初に決めたときは「よし、やるぞ!」とやる気が上がり、なんでもできるような気になるかもしれませんが、あとは何も対策をしなければ、試験日に向けて徐々に下降していきます。

「努力しているのになぜか報われない」という人は、受験しようと決意した初動の段階で、自分を追い込みすぎてしまうのかな、という印象はありますね。やっぱり、何か新しいことをはじめると決意して、モチベーションが高くなっているときって、とりあえずなんでもいいから動きたくなるじゃないですか。そんなときにやってしまいがちなのが、

・とりあえず本屋に行って、参考書を一通り揃える
・とりあえず資格試験対策用のスクールに行き、入会金を払う

などなど。「とりあえずお金を払って自分を追い込んだ! 逃げられない状況にして絶対合格する!」という人もいますが、本を買ったきり、スクールに申し込んだきり勉強しなくなり、結局その年の試験を見送りにした、という人もたくさんいますからね。

最初のモチベーションが高ければ高いほど、その後、モチベーションが下がっていく自分との落差に絶望し、「参考書たくさん買ったのに」と焦り、余計なプレッシャーになり、結局ますます勉強するのが億劫になる……という負のループに陥る可能性だってあります。

受験を決めた直後、絶対にやってはいけないこと

──ああ、なんだか耳が痛いです。身に覚えがあります……。

棚田:なので、受験を決めたあと、「とりあえず参考書を買い漁る」は、一番やってはいけない行動だと私は思っています。

「努力する」とは「動くこと」「数をこなすこと」ではなく「情報を集め、現状を見える化し、分析結果をもとに自分に合った方法を実行すること」シンプルに言うと「動く前にまず「考える」と言うことです。学習を進めていくと漠然とした不安に襲われるようになり、その不安を払拭するために参考書や問題集を買い漁りたくなると思いますが、その行動は努力とは言えません。

多くの資格は問題集と参考書各1冊を完璧に理解して覚えれば合格できます。買い足した問題集や参考書をほとんどやりきれないまま試験日を迎えることになり、結果「あれもやり終えられなかったのに合格できるのだろうか」と余計な不安を抱くことにもなりかねません。

焦ってとりあえず動きたくなる気持ちはよくわかりますが、まずは一度落ち着いて、合格するための作戦を「考える」時間を設けられるといいですね。

今、「努力は報われるのだろうか」と不安になっている人もいると思います。

たしかに、努力は必ず報われるとはかぎりません。しかし、努力は必ず報われると信じて努力できる人には、必ず報われるときが来ます。

これからみなさんがチャレンジする結果を私が予想することはできませんが、今学んでいること、覚えている知識は全部、人生の財産になります。だからこそ、どうか思い切ってチャレンジしてほしいですね。

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