関東の保育園に勤務するかたわら、園児たちの日常をつぶやくTwitterが55万フォロワー超えと大人気のカリスマ保育士・てぃ先生。子育てや保育に関するお役立ち情報を発信するYouTubeチャンネルも登録者数65万を超え、今やテレビやラジオなどのメディアでも引っ張りだこ。『子どもに伝わるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』『子どもが伸びるスゴ技大全 カリスマ保育士てぃ先生の子育て〇×図鑑』といった著書も軒並みベストセラーとなっている。
一方の精神科医Tomy先生は、Twitterで日々悩める人々の心を救い、30万フォロワー突破。精神科医Tomyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』をはじめシリーズ27万部突破と大ヒット中。自身初の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』も増刷を重ねて乗りに乗っている。
普段から子育て中の親世代と接している2人は、何かと相談を持ちかけられることが多い。また、SNSでは悩みに答える発信を得意とするインフルエンサーでもある。よくある親の悩みにどう答えるか、子どものメンタルの問題への向き合い方、SNSで発信する際に心がけていることなど、2人が語り合った内容をお届けする。

【てぃ先生X精神科医Tomyが教える】「身近にいる困った人」に共感が集まる理由

「身近にいる困った人」に共感が集まる理由

Tomy:YouTubeでは、頻繁にテロップが出るじゃないですか。あれがあると、やっぱり視聴者に受け入れられやすいんですか?

てぃ先生:多くの伸びているYouTuberがテロップを入れているのは、入れるか入れないかで再生数が全然変わってくるからなんです。堀江(貴文)さんみたいに、スマホで撮影してそのままアップしているのは本当に稀なケース。基本的にはテロップを入れないのはありえない感じになっています。

Tomy:テロップを読むことで、耳から聞いた言葉を補足しているんでしょうか。

てぃ先生:厳密にいうとそういうことじゃないんです。それがないと理解できないというより、メディアとしてそういうものだと思っているからなんです。海外のYouTubeは、日本みたいにテロップを入れてないですし、サムネイルもただの写真です。あんなふうにいろいろ文字を入れているのは日本独自の文化なんですよ。すっかりテロップに慣れ切っていて、テロップがないと違和感を覚えるので再生回数が伸びないという理由もあるみたいです。

Tomy:なるほど。Twitterの場合、ある程度バズるのは、「あなたの身近にこういう困った人いませんか?」「こういう困った人にはこう対処!」みたいな発信です。自分自身を振り返るような言葉は、ハマったときの影響力は圧倒的に大きいですけど、自分の嫌な現実を見つめるという作業がともなうので、ときに読者をムッとさせてしまうことがある。そこは微妙なさじ加減が重要なんです。

一方で、「自分の周りの困った人」というのは、あくまでも他人のことなので、自分の現実を見つめなくてもいいわけです。ある意味、安心感があるので感情移入しやすいし、フォロワーさんも盛り上がりやすいんです。

「他人を責めるネタ」はなぜバズる?

Tomy:そういう意味では、毒親系の話題もバズる印象があります。これは「自責」「他責」の話になるんです。結局、他責の話をすると盛り上がりやすいということなんですよね。もちろん、そういう逃げ道も大事だと思うので、否定はしません。自省を促すような投稿ばかりしていると息苦しいですし、そっぽを向かれる可能性もありますから。

だからといって、他責な話ばかりしていると、それはそれで話が偏ってくるので注意が必要です。

てぃ先生:もう少し掘り下げると、一般の読者は他責の話を聞いたとき、「ああ、やっぱり自分のせいじゃなかったな」と受け入れられます。一方で、スポーツで金メダルを獲るレベルの超一流のアスリートとか、超一流の経営者たちのなかには、いわゆる生存者バイアス(成功を収めた一部の人・事例を基準に誤った判断をしてしまうこと)がかかっている人たちもいます。

本来は厳しくされてつぶれていく人がほとんどの環境の中で、たまたま桁外れの忍耐力で生き残って成功した人たちは、生存者バイアスに寄った発信をしがちです。「オレは厳しくされながら育ってきて、それで成功できたんだ。『置いていっちゃうから』というくらい厳しいほうが、むしろ子どものためなんだよ」みたいに主張するわけです。

それに対して一般の人たちが「偏った考え方じゃないか」と反発して論争がはじまる。そのせいで盛り上がりやすい、という側面もあると思うんです。

Tomy:説得力がある話ですね。SNSで発信している人にとって参考になるんじゃないでしょうか。

(構成:渡辺稔大)