需要急拡大の恩恵を受けて好業績が続く半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクス。近年は大型M&Aを実施するなど大胆な改革に取り組んできた。また、今年4月には2000億円の自社株買いを実施。こうした動きが加速する背景には同社の「ガバナンス体制の変化」があるとみられる。その変化とは。特集『会計サミット2022』#4では、『決算書の読み方 最強の教科書』の著者である吉田有輝氏が、決算書から分かるルネサスのガバナンス改革の意義をひもとく。
需要拡大の「追い風」で
絶好調のルネサスエレクトロニクス
車載用マイコンで世界トップシェアを誇るルネサスエレクトロニクス(以下、ルネサス)の業績が好調だ。直近12カ月合計ベースで売上収益は1兆円を超え、営業利益も2500億円を超える過去最高額となっている。
好調な業績の背景には、新型コロナウイルスの感染拡大後に発生した半導体需要の急増といった外部要因も大きく影響している。そのため、ルネサスの社長兼CEOの柴田英利氏は直近の業績について、「追い風参考記録のようなものだと思っている」と言及している。
一方で、実はルネサスはここ数年間で大胆な企業変革を行い、攻めの姿勢を強めている。直近では好調な外部環境も相まって業績が急伸している部分もあるが、この変革がうまくいけば、今後外部環境の変化にとらわれず中長期で成長していくことも十分に考えられる。
そこで今回は、決算短信や有価証券報告書を通じて読み取ることができる、ここ数年で起きているルネサスの企業変革について解説する。