アメリカ、ロシア、フランス、中国、韓国、そして日本といった世界の主要国でリーダーの交代、選挙が行われた2012年。各国が選挙戦に突入し「内政の年」となったが、2013年は新たな国家元首の下でどのような国際関係が築かれることになるのか。東京大学法学部政治学研究科・藤原帰一教授に2回にわたってその行方を聞く。前編である今回は、オバマ大統領が再選を果たしたアメリカを中心に、欧米・中東地域における2013年の政治情勢を予測する。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

2013年も“内政重視の年”に
「選挙主導」から「経済主導」へ

――2012年はアメリカや中国、そして日本を含めた主要国でリーダーの交代や選挙が行われた年だった。選挙を終えた今年、各国はどのような態度で外交政策に臨むことになるか。

ふじわら・きいち
東京大学法学部法学政治学研究科教授。1956年生まれ。専門は国際政治、東南アジア政治。東京大学法学部卒業後、同大学院単位取得中退。その間に、フルブライト奨学生として、米国イェール大学大学院に留学。東京大学社会科学研究所助教授などを経て、99年より現職。著書に『平和のリアリズム』(岩波書店、2005年石橋湛山賞受賞)など

 昨年は各国が選挙のために国内世論に有利な政策を叫び、外交は後回しという「内政重視」の方向に動いた。今年も国内市場向けに景気対策を行うことが政治の主軸となり、内政重視の基調は変わらないだろう。2012年が「選挙主導」だったとすれば、今年は「経済主導」で各国が内向きになるといっていい。

 理由は非常に単純だ。現在、かつてとは異なり、様々な国が海外投機によって利益を獲得する機会が減少している。2012年中は、ユーロ圏の経済危機のみならず、BRICsと呼ばれる中規模の工業国の経済減退が続いた。そうした環境下でも景気浮揚するために、各国は今年、国内市場に向けた施策を中心に行っていくことになる。

 例えば、イギリスでは保守党政権が財政再建第一の方向から労働党同様に内需拡大方向の政策に移行。また、フランスでは革新系のオランド大統領が就任し、その下で国内市場重視の政策を行われるようになった。

 アメリカは「財政の崖」をめぐる対応において共和党議会との妥協の方向に進んだが、これは結果的に積極財政の方向に動くことになる。実際、オバマ政権はもともと通商政策に弱い政権だが、昨年は選挙の年ということもあり、国内への公共投資が異様に増加した。今年もその方向性が続くだろう。日本は安倍政権誕生でインフレターゲットをはじめとした積極財政に進む。積極財政は国内資金供給の拡大が第一にあり、通商を第一にした政策では必ずしもない。このような国内重視の流れは、外部からの投機的な資金が流れ込むことで支えられてきたインドや中国などでも同様に起こる。

 こうした傾向は一般に景気後退期に見られる現象だ。景気拡張期には市場統合が進む傾向にあり、その場合は政府介入を比較的小さめにして、むしろ自由な資金移動の拡大を重視する方向に動く。一方で景気後退期には、経済安定化のため政府に資金供給を頼るようになる。各国が通商政策重視の方向に進めばいいように思うが、そうはいかない。なぜなら、政府の財政措置が大きな影響を与えるのは何よりも国内市場であるためだ。したがって、その国内市場重視の流れは続くことになるだろう。