投票と市場の決定的な違い
投票と市場は本来同列に考えられるものではない。しかし、直接コミュニケーションがとれない大勢の人の意見集約の手法としてはよく知られており、比較されることがしばしばある。
大きな違いとしては、投票は投票者の価値観や意向にもとづくことが多いのに対して、市場はより客観的な見通しにもとづいて売買が行われる点にある。また、投票では投票内容によって自身に利益や不利益が発生することはないが、市場の場合は自身の行動が自分の利益に跳ね返ってくるため、より真剣に参加するとされる。
そのため、市場の場合は、より真剣に検討した客観的な見解についての情報を集約できるという特性がある。さらに、その参加者が偏っていることもあるが、その見解について自信のあるユーザが参加するのも重要な特徴である。それらの特徴をうまく生かしているのが予測市場である。
しばしば対比される投票では、すべての参加者が義務的で平等であるがゆえに、適当な投票、回答というかたちで不適切なノイズが入り込む場合があり、投票の大きな欠点になりうる。予測市場はその仕組上、そのようなノイズを含みにくいという特徴がある。
さて、今回は、予測市場が備える市場という仕組みについて、またその集合知的な特性について整理した。次回は選挙を事例にして、予測行為としての予測市場の持つ性質について説明しよう。
(次回は1月23日更新予定です。)
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