「ゴリゴリの肩」「バキバキの背中」「ガチガチの股関節」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、悩まされるようになった体の不調。「肩がこる」というレベルではなく、痛みさえ生じることだってある。それもこれも「年をとったせいだ」と思いがちだけど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いなのです。
そこで参考にしたいのが、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『金スマ』(TBS系)、『体が硬い人のための柔軟講座』(NHK)などで話題のフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏の著書『10年後、後悔しない体のつくり方』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、中高年はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも体が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、肩や背中がカチンコチンに硬くなった人が陥りがちな勘違いと柔らかい体をとり戻す方法を解き明かす!
(監修:田畑クリニック院長 田畑尚吾 医師 初出:2022年9月7日)
ストレッチは1部位2~3回やると効果的なワケ
「理論的かつ結果を出すトレーナー」として数多くのトップアスリートやチームのトレーナーを歴任。卓球の福原愛選手やバドミントンのフジカキペア(藤井瑞希選手・垣岩令佳選手)、マラソンの神野大地選手の個人トレーナーほか、数々のオリンピック出場者を指導する。2014年からは青山学院大学駅伝
チームのフィジカル強化も担当。自身が技術責任者を務める東京都・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、無理なく楽しく運動を続けられる施設として、幅広い層から支持を集め活況を呈している。著書は『10年後、後悔しない体のつくり方』(ダイヤモンド社)など多数。
静的ストレッチは1回20~30秒がベストですが、1部位1回だけでなく、2~3回やるとより効果が高まります。
1回よりも2回、2回よりも3回という具合に、筋肉は回数を重ねるにつれてよく伸びるようになり、ストレッチ効果も高まるからです。これは筋肉をすっぽり包んでいる「筋膜」の抵抗性が下がるためです。
筋肉は、温かいほうが伸びやすいという性質がありますから、有酸素運動後や入浴後のように、体が温まっているときにストレッチをすると効果的です。
1部位3方向に伸ばす
筋トレは筋肉の疲労を抜くために2~3日の休養期間を設けるほうが効果的ですが、ストレッチは毎日やってもOKです。やればやるほど柔軟性が高まります!
「ウォーキングのあとに下半身、お風呂上がりに上半身をストレッチしよう」というふうにルーティンにしてもいいでしょう。
胸の「大胸筋」、背中の「僧帽筋」、太もも裏側の「ハムストリングス」、太もも表側の「大腿四頭筋」、ふくらはぎの「下腿三頭筋」など大きな筋肉は、1部位1方向だけでなく、少なくとも3方向に伸ばすといいです。
1部位3方向に伸ばしてあげよう
大きな筋肉は、筋肉の起始(両端のうち体幹に近いほう)と停止(両端のうち体幹から遠いほう)が複数あったり、筋線維が走る方向が異なる部分に分かれていたりします。
たとえば、大胸筋と僧帽筋はどちらも上部・中部・下部に分けられます。ハムストリングスは「大腿二頭筋」「半腱様筋」「半膜様筋」という3つの筋肉、大腿四頭筋は「大腿直筋」「外側広筋」「内側広筋」「中間広筋」という4つの筋肉、下腿三頭筋は「腓腹筋」「ヒラメ筋」という2つの筋肉の集まりなのです。
大きくて広い筋肉や複数の筋肉が集まっている筋肉は、1方向だけストレッチしても全体は伸ばせません。そこで伸ばす方向を変えながら、少なくとも3方向にストレッチしてほしいのです。
効果的なストレッチの理屈
1方向だけでストレッチを終えてしまうと、筋肉の柔軟性が十分に引き出せない恐れがあります。なぜなら同じ筋肉でも、筋線維によって柔軟性には少しずつ差があるからです。
さらに1方向だけだと、伸びにくい筋線維をかばうように、伸びやすい筋線維ばかりがストレッチされてしまいます。本当にストレッチしたいのは伸びにくい筋線維なのに、これでは中途半端になってしまいかねません。
伸びにくい筋線維にまでストレッチの刺激を十分に加えるには、方向を変えて3方向に伸ばしてやると効果的なのです(ストレッチ法は【TBS『金スマ』出演で大反響となった中野ジェームズ修一が教える!】ウォーキングやジョギングのあとにやると効果的な5つのストレッチとは?をご参照ください)。
※本稿は、『10年後、後悔しない体のつくり方』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、体が若返るメソッドがたくさん掲載されています。ぜひチェックしてみてください!