リーダー論に正解はありません。時代や年齢、率いる組織の業績、規模によっても求められる能力は異なります。ここでは、リーダー経験がほとんどゼロでダイヤモンド編集部の編集長になってしまった私が、わらにもすがる思いで手にしたリーダー本を紹介していきます。

『結果を出すリーダーはみな非情である』『優れたリーダーはみな小心者である。』、はたまた『最高のリーダーは何もしない』など、一見すると矛盾していそうな5冊を選定しましたが、読んでみるとストンと腹落ちするものばかりです。

特集『編集長厳選!無敵のリーダーになるための5冊』で、これまでにない不思議な読書体験をお届けします。#8は『最高のリーダーは何もしない』を紹介。「何もしない」のに結果を出すリーダーが兼ね備えておくべき2つの能力とは?(ダイヤモンド編集部編集長 山口圭介)

「何もしない」のに結果を出すリーダーが兼ね備えている、たった2つの能力

日本型リーダーが
米国で再評価される理由

 週刊誌市場が急速に縮小する中、生き残りを図るために紙メディアの「週刊ダイヤモンド」編集部とデジタルメディアの「ダイヤモンド・オンライン」編集部を統合し、ダイヤモンド編集部として再出発したのが2019年4月。統合と同じタイミングで編集長となり、編集部のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めてきました。

 改革を加速するため自らに課したのが、「決めること・変えること・任せること」の3カ条でした。やるべき優先順位を決め、ルールや慣例を変え、部員にどんどん任せようと考えたわけです。今でこそ少しずつうまく回り始めましたが、当初は失敗の連続でした。

 もし編集長への就任前に、この『最高のリーダーは何もしない』を読んでいたら、もう少しスムーズに改革を進められたかもしれません。

 特に参考になったのが、リーダーに求められる2つの能力についてのくだりです。同書の本文では、「何もしない」のに結果を出すリーダーが兼ね備えておくべき2つの能力を明らかにします。また、日本の管理職にぜひ知っておいてもらいたい以下のテーマについても、解説しています。

・世界のリーダーが「原点回帰」している理由
・次世代リーダーシップを「伝統ある同族企業」に学ぶべき理由
・日本型リーダーが米国で再評価される理由
・トヨタが復活し、シャープが凋落する理由

『最高のリーダーは何もしない』(P37〜)はこちら

「何もしない」のに結果を出すリーダーが兼ね備えている、たった2つの能力

はじめに P.1~P.20

第1の発想転換 「人を動かす」から「人が動く」へ P.21~P.36

第1の発想転換 「人を動かす」から「人が動く」へ P.37~P.56

第2の発想転換 「やるべきこと」から「やりたいこと」へ P.57~P.71

第2の発想転換 「やるべきこと」から「やりたいこと」へ P.72~P.85

第2の発想転換 「やるべきこと」から「やりたいこと」へ P.86~P.92

第3の発想転換 「命令を伝える」から「物語を伝える」へ P.93~P.111

第3の発想転換 「命令を伝える」から「物語を伝える」へ P.112~P.126

第4の発想転換 「全員味方」から「全員中立」へ P.127~P.149

第4の発想転換 「全員味方」から「全員中立」へ P.150~P.160

第5の発想転換 「チームの最前線」から「チームの最後尾」へ P.161~P.186

第6の発想転換 「きれいごと <も>」から「きれいごと <で>」へ P.187~P.202

第6の発想転換 「きれいごと<も>」から「きれいごと<で>」へ/おわりに P.203~