リーダー論に正解はありません。時代や年齢、率いる組織の業績、規模によっても求められる能力は異なります。ここでは、リーダー経験がほとんどゼロでダイヤモンド編集部の編集長になってしまった私が、わらにもすがる思いで手にしたリーダー本を紹介していきます。

『結果を出すリーダーはみな非情である』『優れたリーダーはみな小心者である。』、はたまた『最高のリーダーは何もしない』など、一見すると矛盾していそうな5冊を選定しましたが、読んでみるとストンと腹落ちするものばかりです。

特集『編集長厳選!無敵のリーダーになるための5冊』で、これまでにない不思議な読書体験をお届けします。#6は『優れたリーダーはみな小心者である。』を紹介。リーダーが“悪代官”に成り果てるダメ上司の烙印「OKY」の残念すぎる意味とは?(ダイヤモンド編集部編集長 山口圭介)

ダメ上司の烙印「OKY」の残念過ぎる意味、あなたは“悪代官”リーダーになっていないか

リーダーシップの原点は
「やってみせること」にあり

 前職の新聞記者時代、自らは汗をかかない口先だけの上司に反発し、よく衝突していました。自分はそうなっていないか、今も反面教師にしています。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」。旧日本海軍の山本五十六・連合艦隊司令長官の名言からも分かるように、古今東西、リーダーシップの原点は自ら汗をかいて「やってみせること」にあります。

 ただ言うはやすし。『優れたリーダーはみな小心者である。』の著者で、グローバル企業ブリヂストン元CEOの荒川詔四氏ですら手痛い失敗をしています。

 荒川氏はタイ駐在時代に、実情を何も知らないのに「在庫管理をちゃんとしろ」と一方的に現場に要求し、“悪代官”のようになっていたと反省。その上で、タイ従業員たちは荒川氏に対して「OKY」と思ったはずだと述懐しています。

 OKYとはある言葉の頭文字をとった言葉。荒川氏が現場のスタッフから聞かされて強く記憶に刻み込まれたものだそうです。詰まるところ、部下から突き付けられる「ダメ上司の烙印」と言えるでしょう。「現場にOKYと思われたらリーダーは失格」と荒川氏。多くのリーダーがOKYの意味を知れば、戦々恐々とするはずです。

 同書の本文では、残念すぎるOKYの真意を明らかにしつつ、現場から信頼されるリーダーシップ術に迫ります。加えて、優れたリーダーが「不安感」を味方につけている訳「理路整然」としたリポートを疑うべき理由などについても解説しています。          

『優れたリーダーはみな小心者である。』の第3章はこちら

ダメ上司の烙印「OKY」の残念過ぎる意味、あなたは“悪代官”リーダーになっていないか

はじめに/目次 P.1~P.26

第1章 「小心な楽観主義者」が最強である P.27~P.82

第2章 「臆病者」しか生き残れない P83~P.142

第3章 「心配性」だから強くなる P143~P.194

第4章 「組織の力学」に敏感であれ P.195~P.244

第5章 すべては「理想」から始まる/あとがき P.245~