リーダー論に正解はありません。時代や年齢、率いる組織の業績、規模によっても求められる能力は異なります。ここでは、リーダー経験がほとんどゼロでダイヤモンド編集部の編集長になってしまった私が、わらにもすがる思いで手にしたリーダー本を紹介していきます。
『結果を出すリーダーはみな非情である』に『優れたリーダーはみな小心者である。』、はたまた『最高のリーダーは何もしない』など、一見すると矛盾していそうな5冊を選定しましたが、読んでみるとストンと腹落ちするものばかりです。
特集『編集長厳選!無敵のリーダーになるための5冊』で、これまでにない不思議な読書体験をお届けします。#7は『最高のリーダーは何もしない』を紹介。優れたリーダーが指示を出さない理由をお届けします。(ダイヤモンド編集部編集長 山口圭介)
リーダーシップの在り方に
大きな変化が起きている
編集長になって以来、自信のなさからさまざまなリーダー本を読みあさってきました。その中で最も違和感のあるタイトルだったのが、『最高のリーダーは何もしない』でした。日々、追われるように過ごしていた身としては、そんなことあるかい!と突っ込まずにはいられませんでした。
ただ、いざ中身を読んでみると、1000人以上のリーダーにインタビューしてきた著者の見立ては示唆に富んでいて、大いに参考になりました。
著者である藤沢久美氏は、「リーダーというと、『即断即決・勇猛・大胆』『付いて行きたくなるカリスマ性』『頼りになるボス猿』といったイメージを持つ人も多いけれど、そうしたリーダー像は過去のものになりつつある」との持論を展開。その上で、「今、最前線で活躍するリーダーは権限を現場に引き渡し、部下に支えられながら組織を勝利に導いている」とし、リーダーシップの在り方に大きな変化が起きていると説きます。
さらに藤沢氏は、一流のリーダーの多くは内向的で、心配性で、繊細であるという点でも共通していると指摘します。
同書の本文では、「何もしないリーダーシップ」が浸透している職場をケーススタディーとして取り上げ、なぜ指示しない職場で業績が上がっているのかを解説。“人を動かす組織”と“人が動く組織”の差を解き明かしつつ、以下のテーマを掘り下げていきます。
・従来のリーダーシップでは遅すぎる理由
・理想的なリーダーは2つのスタイルを併せ持つ理由
・仕事に徹するほど「何もしていない」ように見える理由
第1の発想転換 「人を動かす」から「人が動く」へ P.21~P.36
第1の発想転換 「人を動かす」から「人が動く」へ P.37~P.56
第2の発想転換 「やるべきこと」から「やりたいこと」へ P.57~P.71
第2の発想転換 「やるべきこと」から「やりたいこと」へ P.72~P.85
第2の発想転換 「やるべきこと」から「やりたいこと」へ P.86~P.92
第3の発想転換 「命令を伝える」から「物語を伝える」へ P.93~P.111
第3の発想転換 「命令を伝える」から「物語を伝える」へ P.112~P.126
第4の発想転換 「全員味方」から「全員中立」へ P.127~P.149
第4の発想転換 「全員味方」から「全員中立」へ P.150~P.160
第5の発想転換 「チームの最前線」から「チームの最後尾」へ P.161~P.186