大分県で生まれ育ち、小・中・高と地元の公立校、塾通いも海外留学経験もないまま、ハーバード大学に現役合格した『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』の著者・廣津留すみれさん。ハーバードを首席で卒業後、幼い頃から続けているバイオリンを武器にニューヨークのジュリアード音楽院に進学、こちらも首席で卒業した。現在はバイオリニストとして活動しながら、テレビ朝日系『羽鳥慎一 モーニングショー』のコメンテーターとしても活躍している。先ごろは『徹子の部屋』に出演し、話題となった。
日本から突如、世界のトップ校に飛び込み、並み居る秀才・天才たちのなか、途方に暮れるような大量の難題を前に、どう考え、どう取り組み、どう解決していったのか? 著者が学び、実践してきたハーバード流の「考える力」について、自身の経験をベースに、どうすれば個人や組織が実践できるかを、事例やエピソードとともにわかりやすく紹介する。
※本稿は『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』より一部を抜粋・編集したものです。
自分の考えを的確に表現する“3つのステップ”
【前回】からの続き。ハーバードに入学した最初の学期では、英語が母国語ではない学生向けのライティング(作文)の授業で、小論文の書き方を教わりました。なぜライティングの授業があるかというと、ハーバードでは毎日のように小論文形式の課題が出るからです。
1つのテーマについてのレポートをA4で10ページほどの文章にまとめることが求められます。そこで教わった方法は、次の3ステップで考えをまとめて書く方法です。
ステップ2 下書き
ステップ3 仕上げ
ステップ1の「箇条書き」では、自分の頭に浮かんだアイデアやテーマに則して、書きたいと思った事柄を片っ端から箇条書きにします。
ステップ2の「下書き」では、【前回】説明した5パラグラフエッセイの基本である「導入⇒本論1⇒本論2⇒本論3⇒結論」という段落の構造に従って、ステップ1で箇条書きにしたものを並べ替えます。
その後、それぞれの段落を肉づけして、エッセイとして「まあ読めるかな」というところまで持っていきます。ステップ3では下書きを何度も推敲しながら、より正確でなおかつストレートに自分の考えが伝わるように、また読者が退屈しないように工夫しながら仕上げていきます。
3つのステップに締め切りを設定する
ライティングの授業では「時間配分」も学びました。授業では3つのステップごとに締め切りが設定されています。最終的な締め切りしか設定しないと、ステップ1の箇条書きの段階で時間を使いすぎてしまい、ステップ3の推敲が不十分なままで提出することになってしまいかねません。
そうならないようにステップごとに締め切りを設定して、時間配分を誤ることなく、質の高い思考とそれを反映したアウトプットをできるようにするのです。
この3つのステップは仕事の書類やプレゼンの準備にも応用可能なスキルで、私も実践しています。
※本稿は『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』より一部を抜粋・編集したものです。