ホンダの韓国LG・米GMとの提携強化が映す、自動車業界「大変革」の衝撃調印式に臨んだホンダの三部敏宏社長(左)とLGエナジーソリューションのクウォン・ヨンスCEO Photo:HONDA

ホンダは、米国のGMと韓国のLGグループとアライアンスを組んで、「100年に1度」と呼ばれる自動車産業の大変革に対応しようとしている。背景にある「CASE」のインパクトは大きい。バッテリー調達能力の向上、自動運転技術などソフトウエア開発力の強化、搭載点数の増える車載用の半導体開発のために、世界の大手自動車メーカーは合従連衡や異業種との提携を強化しなければならない。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

ホンダとLGが米国でEVバッテリーの新工場を建設

 8月29日、本田技研工業(ホンダ)は、韓国のLGエナジーソリューション(LGES)と電気自動車(EV)用のリチウムイオンバッテリーを生産する合弁会社の設立に合意した。米国で2025年の量産開始を目指し、両社は総額44億ドル(約6160億円)を投じて工場を建設する。ホンダは国際分業体制を強化し、事業運営の効率性を一段と高める考えだ。

 見方を変えると、今回の発表によって日米韓の主要企業によるアライアンス体制が強化されることになる。20年9月、ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)との戦略的アライアンスを発表した。GMはLGESの親会社、LG化学(以下、LG化学、LGESを含めLGグループとする)と関係を強化している。また、22年6月にホンダはソニーグループと、EVの設計・開発・生産を行う合弁企業の立ち上げを発表した。

 ホンダは提携戦略の強化によって今後の環境変化に対する選択肢を増やし、新しいモビリティーの創出を加速させようとしている。世界経済の先行きは楽観できないが、今回の提携を機にEVなどの開発、市場投入スピードを高めることができれば、ホンダのビジネスチャンスは増加するだろう。