偏差値だけで進路を決めてはダメ

富永:あともうひとつ、受験生がいるご家庭には、偏差値に一喜一憂して、子どもの人生を決めつけないほうがいいですよ、ということもお伝えしたいです。

 クラス分けで子どもの自信や自己肯定感がボロボロになるのも、受験の大きな弊害だと思っているので、4年生ぐらいまではクラス分けする必要もないんじゃないかと思っているほどです。

――偏差値ってよくわからないですよね。

富永:そうなんですよ。受験する学校も、偏差値が高い学校が必ずしもいい学校とは限りません。よく調べてほしいのですが、偏差値が低くてもいい学校はたくさんあります。

 ずっと偏差値50前後のお子さんを、志望校を決めるときに偏差値65以上の学校に入れたいという親もいますが、それは100%親の自己満足のためです。

 親の理想を叶えるためにガミガミ言われ続けるのは、子どもにとって迷惑でしかありません。

 ですから親は、受験を数字ゲームのように錯覚して、クラスや偏差値で子どもを評価するのではなく、子どもの実力に合った勉強の仕方や学校選びを意識してほしいのです。

 これからお子さんが受験勉強をはじめるご家庭は、なぜ子どもに受験させるのか考えてください。その理由が、子どもにとって有意義なものであればやる意味はありますが、親のためならやらないほうがいいでしょう。

子どもの10年後を見据えて中学受験をする

――中学受験をするかしないかの判断基準を1つだけ挙げるとしたらなんでしょうか。

富永:その子の10年後、つまり社会に出る頃に有益になるかどうかですね。これは僕の塾の説明会でもいつも話しています。

 東大、早慶、MARCHに行かせることが目的だったら、高校受験でも可能ですよね。ですから受験を決める前に、必ず地元の公立中学校を見学してくださいとも話しています。地元の公立中学校の情報を調べたうえで、高いお金を払ってまで私立に行かせる意味があるのか、じっくり考えてほしいからです。

 控えめに言っても中学受験の世界は過酷ですから、親も子も相当な覚悟を持ってスタートしなければ「こんなはずじゃなかった」ということになりかねません。であれば、地元の公立に行かせる道を選んで、自信と自己肯定感をしっかり育んで、高校受験でがんばってもらう選択肢もあるわけです。

 もし、親が数字ゲームに振り回されてヒステリックになって、子どもをダメにする中学受験だったら、終わったあとの人生にも悪影響を及ぼします。

 ですから、いったんやると決めたなら10年後も、20年後も「やって良かった」と思える受験にしてほしいですね。これは、叱り方、褒め方が上手なご家庭ほど意識していることでもあります。

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