開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。
苦手なことをムリに頑張らせても……
子どもの得意教科や特性について、いくつかの要素の強弱を五角形や六角形のグラフにしてみたときに、往々にして、ひとりっ子は、バランスが悪いデコボコな形になりがちです。
ひとりっ子は、なにかにこだわり出したら止まらないという特徴があるからです。
そこで、バランスを良くするために苦手なことを頑張らせようとしても、なかなか上手くいかないのもひとりっ子の特徴です。
ここは、親に「引く勇気」が求められるところです。
たとえば、「苦手な理科は4割でいいから、得意な社会で8割取ろう」というように、デコボコしている中でどうやってトータルに点を伸ばしていくかに思考をシフトしたほうがいいでしょう。(関連記事:【ギフテッド教育】特異な才能、困った行動、親は「子どもの個性」とどう向き合うべきか?)
中学入試から大学入試まで「1科目入試」が増えている
加えて、ひとりっ子の親に知っておいてほしいのが、バランス型の子どもを求めている学校と、そうではない学校があるということです。
過去の中学受験においては、どれかの要素が突出しているのではなく、すべてにおいて及第点を取れる子どもが望まれるところがありました。
しかし、今は明らかに変化を見せています。学校によっては、将来的に海外留学したり外資系企業で活躍したりするようなエッジの立った子を求めています。
そして、その傾向は、これから強まりこそすれ、弱まることはないでしょう。
もちろん、ひとりっ子であってもバランス型ならば、そうした個性を生かしてあげればいいでしょう。伝統校や大学附属校の入試ではバランス型の学力が求められます。
ただ、こだわりだしたら止まらない様子が見て取れたら、親はそれを心配することなく、バランスが悪い中でどこを伸ばすかを検討してください。
なお、子どもたちのゲームについて、私には確固たる持論があります。
30分ずつ4つの異なるゲームをやるよりも、1つのゲームにこだわって2時間没頭できるほうがはるかにいいと思っています。
そもそも、ロールプレイングゲームに2時間夢中になるというのは、頭が良くなければできません。2時間集中できることが大事なのです。そのゲームに集中できた2時間を、あるときに算数に換える、国語に換えるということをすればいいのです。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)