去る1月22日、ついに日本銀行がインフレ目標を導入した。にもかかわらず、翌23日の国債価格は小動きに終始した。「失望したと言う人もいれば、予想通りという人もいる」(メガバンク運用担当者)。
インフレ目標の導入でデフレ解消に向かうと予想されれば、金利は上昇(国債価格は下落)するはず。一方、日銀がインフレ目標達成のために、金融市場関係者が驚くほどの国債買い入れを発表すれば、国債価格は上昇(金利は下落)したかもしれない。
「現白川総裁では、この程度の緩和しかできない。次期総裁がだれで、どのような政策を打ち出すかまで様子見。これから2ヵ月間やることがなくなった」(同担当者)。どちらにも振れなかったということは、国債市場は結論を先送りしたことを意味する。
「株高」「緩やかな金利高」「円安」が
2013年のメインシナリオ
一方、為替は円高、株は下落した。材料出尽くしで、昨年末から続いた熱狂も小休止といったところだ。だが、安倍政権が誕生して、経済政策の枠組みが大きく変わることは間違いない。それが国債市場にどのような影響を与えるのだろうか。
「超金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の3本の矢からなる「アベノミクス」。そのアベノミクスが描くベストシナリオは超金融緩和(インフレ目標)→円安・輸出増加、株高→設備投資の増加→景気回復→持続的な成長軌道への復帰→税収増加→財政再建の進展である。いま国債市場の運用関係者が描く、2013年のメインシナリオは、「株高」、「緩やかな金利高」、「円安」。目先のシナリオは、アベノミクスに乗っている。
その「読み」はこうだ。2014年4月からの消費増税は、景気の回復が条件となっている。判断するのは今秋だ。このため安倍政権としては、公共投資という力技を駆使しても、この4月~6月期のGDP成長率を上げにかかる。消費増税が決まれば決まったで、今度は増税前の駆け込み需要が発生するから、13年(あるいは13年度)の景気は強い。