24年ぶりの円買いドル売り介入に踏み切ったことを表明した鈴木俊一財務相。しかし、その効果は乏しい24年ぶりの円買いドル売り介入に踏み切ったことを表明した鈴木俊一財務相。しかし、その効果は乏しい Photo:REUTERS/アフロ

FRB(米連邦準備制度理事会)は景気後退を辞さない覚悟で利上げを継続する。それは、24年ぶりの円買い介入を招いた急速なドル高円安、米国の長期金利上昇、株価急落など金融市場を大きく動揺させている。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋)

インフレ抑制のためなら景気後退も覚悟
FRBの利上げで揺れる金融市場

 インフレ抑制のための米国の金利上昇が世界の金融市場を揺さぶっている。

 日本の円買いドル売り介入もその一例だ。9月22日、財務省は1998年6月以来24年ぶりの円買いドル売り介入を行った。1ドル=145円を突破し、146円台寸前にまでドル高円安が進んだ場面で介入に踏み切った。日本の単独介入だった。米国政府は介入に対し「理解をする」と容認したものの、協調介入は否定した。

 下図に見るように、円の対ドルレートは、年初から約30円下落した。急速なドル高円安の背景には、米国金利上昇による日米金利差拡大がある。FRB(米連邦準備制度理事会)は、9月20、21日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、3会合連続となる0.75%の利上げを決定した。政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準は3~3.25%となった。約3年ぶりの利上げを決定した3月以降、3%引き上げられたことになる。

 FOMC参加者の見通しで示される利上げの着地点となる水準も、前回6月の3.75%(2023年末の見通し)から4.625%(同)に引き上げられるとともに、年内の11月、12月の2回のFOMCで計1.25%の利上げをすることが示唆された。11月は4回連続の0.75%の大幅利上げとなる可能性が高い。

 大幅な利上げは、8月の消費者物価の前年同月比上昇率が8.3%と高騰が続くインフレを景気後退覚悟で抑え込もうという意志の表れだ。8月26日の米ジャクソンホール会議での講演以降、パウエルFRB議長は金融引き締めを継続し、政策金利を着地点となる水準に引き上げた後も早期に利下げはしない姿勢を示す発言を繰り返している。早期の利下げでインフレが再燃することを警戒している。