高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇#8Photo:PIXTA

2021年度の平均年収が2688万円に上り、国内上場企業で堂々トップのM&Aキャピタルパートナーズ。ライバルのM&A仲介会社も総じて高いが、それでも他社は1000万円台にとどまる。特集『高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇』(全18回)の#8では、M&A仲介トップ3社の決算書を徹底比較し、高収入のM&A仲介業界の中でも収入が突出する理由を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

M&Aキャピは時給でも堂々トップ
業界他社より頭一つ抜ける理由とは

 M&A仲介業界の勢いが止まらない。

 業界トップの日本M&Aセンターホールディングスの売上高は、2022年3月期までの10年で5倍以上、過去13期の経常利益の平均成長率は驚異の20%超だ。また、M&Aキャピタルパートナーズに至っては、売上高を10年で約18倍に急拡大させている。

 M&A市場の活況を支えるのは、中小企業の事業承継だ。中小企業庁によれば、企業の廃業件数が年々増加する中、廃業理由の約3割を占めるのが後継者不足だ。そんな中小企業の悩みを日本のM&A仲介企業は上手にくみ取り、廃業に追い込まずに売却をアシストしてきたのだ。結果、日本のM&A件数は、11年の1687件から、20年は3730件へと激増している。

 しかも、M&A仲介企業は売り手である中小企業と買い手の双方から手数料を取っている。数も増加しているし、手数料も両手で獲得できる。それが、この10年の業界の爆発的な成長の理由だ。

 恩恵は、社員の懐にもはっきりと表れている。

 M&A仲介トップ3社の平均年収は、日本M&Aセンターが1243万円(21年3月期)、ストライクが1433万円(21年9月期)、M&Aキャピタルパートナーズが2688万円(21年9月期)といずれも高年収で、今や最も稼げる業界だ。

 ただし、高年収のM&A仲介3社の中でもM&Aキャピタルパートナーズの平均年収は断トツだ。上場企業トップで、同じ業界の日本M&Aセンターとストライクにも1000万円以上の差をつけている。

 さらに、M&Aキャピタルパートナーズの収入は、労働時間を考えても高い。国内最大級の社員の口コミを有する就職・転職のための情報プラットフォーム「OpenWork(オープンワーク)」は22年7月に、各社の標準労働時間およびOpenWorkに投稿されている平均残業時間から算出した上場企業の時給ランキングを作成。M&Aキャピタルパートナーズは時給8810円で堂々のトップとなった。つまり、総額でも時間当たりでも、最も収入を稼げる上場企業なのだ。

 同じ業界にありながら、企業間でなぜこれほどまでの年収格差が生じるのか。次ページでは、M&A仲介トップ3社の決算書を徹底比較した。すると、トップ3社でももうけの仕組みは全く異なり、M&Aキャピタルパートナーズの収入が突出する秘密が明らかになった。