ただ話すだけなのに「頑張る」「疲れる」「気を使う」……。日々のコミュニケーションで苦戦苦闘している日々よ、さようなら。これからは、説得しようと力業で勝負する必要はありません。自ら動くのではなく、相手に動いてもらい、自分の思い通りの結果に導けばいいのです。
それを可能にしたのが、大久保雅士著『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』だ。「トップセールス」の実績を持つ「メンタリズム日本一」が生んだ至極のコミュニケーションスキルが詰まった一冊。本書より、徹底的に磨かれたノウハウを一部抜粋し、「口下手で人付き合いが苦手」な人でも今日からすぐできる方法を紹介する。
アドリブに強いように見せる
メンタリストはパフォーマンスのリハーサルをしません。
失敗のできないショーを行なうのにリハーサルをしないなんて、基本的にはあり得ないことですが、本当に行ないません。理由はシンプル。そこに観客がいないからです。
私たちの演目は観客の思考を透視したり、行動を予言したりするなどして超常現象を起こします。ですから、観客がいないところでリハーサルを行なっても意味がないのです。
メンタリストはその日の観客の人数や盛り上がり具合、表情や姿勢を見ながら演目を変えていくのです。また観客も思い通りに動いてくれないことも多々あるので、かなりアドリブに強くなります。メンタリストのアドリブ対応力はステージ上で鍛えられるのです。
アドリブに強い人とは、どんな人でしょう。
「頭の回転が速くスラスラと話せる人」でしょうか。そうではありません。話題豊富で雑学に詳しい人こそ、アドリブに強い人です。イメージでは、タレントの伊集院光さんや、うんちく王として有名になったお笑い芸人、くりぃむしちゅーの上田晋也さんなど。要は、アドリブの本質とは、用意周到な準備なのです。
ただ、ここで大事なのは、アドリブに強いように見せることです。
アドリブのための入念な準備をメンタリストや一部の占い師は、「ホットリーディング」という心理テクニックとして応用しています。
ホットリーディングとは、入念な下調べを行なうことで、相手の過去や人となりを見破るというテクニック。探偵を雇うこともあれば、第三者を装って家族に接触を図ったりするなど、さまざまな方法で個人の情報を事前に入手しておくのです。
事前の下調べ以外にも、占い師であれば占いを見るまでの待合室で協力者が何気ない会話を装い、情報を集めることがあります。
タネを明かしてしまえば、ただのズルに見えるかもしれませんが、巧妙な話術と組み合わせると案外わからず、素直な人なら信じ込んでしまう人もいるのです。あくまで一部の占い師ですよ。
これをビジネスに置き換えれば、これから会う相手の趣味や家族構成、好きな食べ物などをあらかじめ調べておき、その情報を基に、相手が会話の話題として食いつきそうなことを質問することで、会話を盛り上げ、相手の信頼を得ていきます。
相手の趣味が「筋トレ」だとしましょう。
自分「最近、運動不足で太ってしまって。体を絞りたいのですが、どうすれば……」
相手「お、筋トレがいいですよ!」
自分「なるほど! 私の場合、どういう筋トレがいいでしょうか?」
このように、偶然を装って準備した会話に繋げるのです。今の時代ならSNSなどから相手の情報は容易に手に入るので、意外と簡単にできます。
ここで大事なのが、その会話にまつわる話を自分も1つ準備しておくことです。
先ほどの例なら、「プロテインを飲みすぎると太るって、本当ですか?」などです。
「よくある疑問」+「本当ですか?」と聞くだけでいいのです。さりげなく行なうことで、偶然に見せることができ、話題豊富な人に見せることもできます。
会話も盛り上がり、好印象も手に入るので、一挙両得なのです。
(本原稿は、日々のコミュニケーションがラクになる36のノウハウが詰まった書籍『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』から一部抜粋、編集したものです)