一番強いのはドコモ率いる
「dポイント」かもしれない

 スマホ4社の中で見ると実はNTTドコモの顧客の中にそういった顧客がたくさんいらっしゃいます。固定電話がNTTだったからという理由で一番信頼できるNTTドコモの携帯を持つようになって、複雑でよくわからないという理由から他社のプランに乗り換えずにずっとドコモを使っているような顧客です。

 そして約9000万人いるdポイントの会員の中の一定数は、もう20年以上ドコモを使っている顧客かもしれません。

 実はマーケティングの専門家から見れば本当に欲しいのはこの動かない顧客リストだったりします。高いけれどもいいものを買ってくれて、それをずっと使ってくれるユーザーだからです。

 dポイントがさまざまなお得なキャンペーンをやって、いろいろな会員がそれに反応したとして、本当に重要なのはそれらのキャンペーンでまったく動かない会員層かもしれないという話です。

 この事情から私は業界の評判とは逆張りの判断として「dポイントが一番強いかも」と思うのです。

 最後にその意味で、今回のTポイントとVポイントの統合で面白いのはVポイントの顧客情報です。三井住友カードのポイントというものは実はクレジットカード業界の中でそれほどポイント還元率が高いわけではありません。

 例えばうちの家族は1.2%還元のカードを使っていますし、私は2%還元のカードを使っています。PayPayの最高ランクならカードからチャージしてQRコード決済で支払えば合計で2.5%還元になります。

 そういった「がっちりした顧客」は、0.5%しか還元されないVポイントなど本当は見向きもしません。逆に言えばVポイントを年間で1万ポイントためている顧客がいたら、それはそんなこと気にもしないで、200万円もカードで支払いをしているそれこそ「優良顧客」なのです。

 その情報を手に入れたという意味で、ひょっとするとこの先、Tポイントにも逆襲があるかもしれない。新しい連携にちょっとだけ期待したいと思います。