JR東海の大黒柱である
新幹線需要が劇的回復
本州3社の最後が、JR東海だ。上期は約1363億円の経常利益、約969億円の最終黒字を計上した。これは2019年度上期の経常利益約4069億円、純利益約2575億円に比べると3分の1程度の水準だが、リニア中央新幹線計画が動き出した2010年度上期の経常利益、純利益とほぼ等しい。
なお第1四半期は約668億円の経常黒字、約470億円の最終黒字、第2四半期は約695億円の経常黒字、約499億円の最終黒字で、コロナ第7波が直撃した第2四半期の数字がわずかながら上回ったのは驚きだ。
JR東海を支えるのは東海道新幹線という大黒柱だ。同社の連結売上高の8割が運輸業で、そのうち9割近くが新幹線、つまり全体の3分の2が新幹線という偏重ぶりだ。連結営業利益で見ても約1719億円のうち約1605億円が運輸業、つまりほぼ新幹線だ。
それだけに新幹線の利用状況が同社の業績を左右する。上期の東京発着新幹線の利用状況は対2018年度約67%(第1四半期、第2四半期とも67%)、うち「のぞみ」は約70%だった。昨年度上期は全体で約35%だったので劇的な回復だ。
利用を平日と土休日に分けてみると、昨年度上期は平日、土休日ともに約35%だったのに対し、今年度上期は平日約64%、土休日は約74%と差が付いており、東海道新幹線の主要顧客であるビジネス需要の回復が遅れていることが分かる。ただ直近10月(1日~30日)は平日73%、土休日約81%で、観光需要が先行しているもののビジネス需要も回復しつつある。